ステータス画面

ふたりのリヴァイアサン大祭

シスター・ベル
槍の忍者・ツカサ

■リヴァイアサン大祭『きっと、これからも…☆』

「せっかくのお祭りですし、よい子にはプレゼントをあげましょう♪」
 右手の人差し指をピンっと立てて、ベルが楽しげに、にこにこ笑顔で提案した。
 何が『せっかく』なのか、いまいち分からないが、その一言で、1日プレゼント配りをする事となる。
 ――ベルが天啓を授かったという赤い服に身を包んで。

「プレゼント配りのお仕事、お疲れ様ー!」
 ベルが大人限定のジュースを並々と注いだジョッキを掲げる。
 ――聖職者は酒を飲みません。これはジュースなのです。子供は飲んではいけない、大人限定のジュースです。
「お疲れ様〜」
 ツカサも同じジュースの入ったジョッキを、ベルのジョッキにカチン! と当てて、二人で一気に中身を煽る。
 1日のプレゼントを配り終えて、ベルとツカサは、女の子同士の打ち上げパーティーを開いた。
「明日になったら、きっとびっくりしますよ〜」
 一仕事終えた後の達成感で笑顔を浮かべるツカサ。
「いっぱい配ったもんねー。きっと喜ぶよ」
 ツカサと同じく達成感に満ちた笑顔で同意する、提案者のベル。
「毎年のことながら、忙しい一日だったですね〜」
「うんうん。だって、すっかり夜も更けて、もうすぐお祭りも終わりだものね〜」
 にこにこと楽しそうに二人で話すが、ベルのその一言で、
「……」
「……」
 二人とも無言になってしまった。
 そう、このリヴァイアサン大祭の日は、エルフ達にとって『パートナー』との絆を尊重し、静かに世界の平和を祈り合うという大切な日なのだという。
「来年こそは素敵なだんな様と!」
 ベルが力強く宣言すると、手に持っていた半分くらい大人限定ジュースが残っていたジョッキを一気に飲み干した。
 そこから始まる、二人の好みの異性、理想の旦那様、恋愛感等、少女トークに花が咲く。――大人限定ジュースが飲める少女が何処にいるのだ、というツッコミはご遠慮願う。
 話が盛り上がると、次々大人限定ジュースの空き瓶が転がる。
「でも、相手ができたらできたで、一緒に遊べなくなったりしたら、いやだなぁ」
 さっきまでテンション高く騒いで、はしゃいでいたベルがぼそりと呟く。
「そうしたら、私とベルさん、私の旦那様とベルさんの旦那様、4人で遊べばいいのです〜」
 ベルとツカサ、それにお互いのパートナーの4人で遊ぶのも楽しいかもしれない。一緒に遊ぶ人数が倍になれば、楽しさは3倍にも4倍にもなるだろう。
「うん、それは楽しそうだねー。うん。そうね。うん」
 少し寂しそうだったベルが、納得して、何度もゆっくり頷いた。
「来年は私も素敵な旦那様ときっと……っ!!」
 ベルが楽しそうに頷くのを見て、ツカサはジョッキの中身をぐいっと飲み干す。
「はいはい 今日は二人で飲み明かしましょ」
 苦笑を浮かべながらも、新しい瓶を開け、ツカサのジョッキに並々と注ぐベル。

 ――来年は、4人でパーティしましょう!
イラストレーター名:よんた