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2人でクロノス大祭

鴬花の導・ロレッタ
ニュクスの柩・アルト

■クロノス大祭『 蜜色の誓い 』

 ――――遥か上空に広がる、星空から舞い降りてくる金の砂。
 それらは純白の雪と共に、今宵のラッドシティを幻想的に彩ってくれていた。賑やかな町並みは変わらぬまま、夜が更け始めようとしていた。

「あー、冷えたね……大丈夫かい?」
「うん、大丈夫だよ」
 少しだけ凍えながら、アルトとロレッタは家の扉をくぐった――2人は、恋人同士である。ほの暗い部屋はキャンドルで淡く灯され、窓の外の美しい風景を見ることも出来た。
「……おいで」
 ソファに腰を下ろしたアルトがロレッタを手招いた。彼女を目の前に座らせようと、アルトは足の間にスペースを作る。
「うふふ、甘えさせてもらうね」
 ちょこん、とロレッタはその場所に座った。それと同時、アルトの両腕が彼女の体を優しく包み込み、じゃれるような動きを繰り返した。
「ちょっと……くすぐったいよ」
「ふふ、たまには良いだろう?」
 こんな触れ合いも、過ごし方もとにかく愛おしいものである。そんな、ふたりきりの時間と温もりを慈しみながら、お互いへ贈る金色の指輪――中央にはそれぞれの想いが込められた、美しい石が納まっている。
「アルト。左手……出してくれる?」
 ロレッタが持つ指輪には、丸く、小振りな薔薇水晶がはめられている。そっと身体を抱きしめてくれている彼の左手の薬指に、指輪を通す。
「良かった。サイズ、ぴったりみたいだね」
 それに満足したのか、愛しげに瞳を和ませ、ロレッタはアルトの薬指に触れるだけの口付を落とした。
「ありがとう……今度は、俺の番だよ」
 微笑み、アルトはロレッタの華奢な左手を取った。
「気に入ってくれると、嬉しいんだけどね」
 彼が用意した細身の指輪には、ハート型にカットされたエメラルドがはまっている――それは、深い緑のきらめきを放っていた。
「わあ……綺麗……っ」
「そう言ってくれると、俺も嬉しいな」
 もう1度微笑んだ後、まるで誓うように、それでもいつもの2人と変わらない様子で、アルトはロレッタの耳元で、ささいた。
「今日から俺はずっとお前のものだよ。……お前は?」
 アルトの言葉に、ロレッタは頬をほんのりと赤く染めた。アルトを見つめるその瞳は、少し潤んでいた。彼女はこくり、と小さく頷き、口を開いた。
「ん、私も……ずっと、ずっと君のもの。……好きだよ、大好き」
 どちらから、ということは無かった。互いの左手を握り絡める。まるで「離さないで、離れないで」とでも言うように、2人の指はもつれ合っていた。
「…………」
 アルトはロレッタの顎に、指を掛けた。微かな沈黙が、2人の間に流れる……そして、視線と視線が交わり、口付けを交わした――これからも一緒に、愛しい日々を過ごせますように、と。
イラストレーター名:siron