■クロノス大祭『お祭りの日のおかいもの!』
――クロノス大祭。普段はエンドブレイカーとしての活動でばたばたしているけれど、今日はお祭り。
これはもう、思いっきり楽しむしかない!
「セールジィー!!」
ルリビタキはテンション高いまま、セルジに声をかけた。
「買い物に行こう!!」
きらきらと緑の目を輝かせ、ルリビタキは誘う。
街中の浮足立った気配は、伝染するように広がっていて……それはルリビタキばかりではなく、セルジにももちろん伝わってきていて。
「ああ、行くか」
常日頃だるだるすることもあるセルジだが、イベント嫌いではない……むしろ、大好きだ。
ルリビタキの言葉に間を置かずに頷く。
街中に向かえば向かうほど、空気は祭りの華やかさに染まっていった。
賑やかさもまた、増していく。
楽しい雰囲気にセルジはわくわく、ルリビタキはそわそわしつつ足を進めた。
セルジと一緒に歩いていたルリビタキはあるお店に興味を持つ。
人込みの中、ピタリと足を止めた。
「あ、セルジ見て! あのぬいぐるみとっても可愛いわね!」
そう言ってルリビタキの示す先にはとかげのぬいぐるみがいる。
可愛いの基準は人それぞれだ。ルリビタキが可愛いというのだから、ルリビタキとしては『可愛い』のだろう。あえてセルジが否定するところではない。
「そうだな」
頷いたセルジにルリビタキは「うふっ」と満足気に笑い、別の店のぬいぐるみに目を移した。
「あ、あっちのワニさんのぬいぐるみも素敵だわ!」
ルリビタキは言いながら、再び目をきらきらさせる。
ひらりと赤い髪を揺らしながら、ワニのぬいぐるみに突進した。
人込みの中、見失わないようにセルジはルリビタキを追う。
「あ、あちらの……」
「ルリ、ちょっと待てえええ!」
とかげ、ワニ……ときて、早速新たなカエルのぬいぐるみにときめいているルリビタキにセルジは思わず突っ込みを入れた。
(「――初めて会ったときから趣味変わってないなあ」)
セルジはふと昔を思い出した。
セルジとルリビタキは、ガーディアンとマスター……かつお互いに頼もしい相棒。
「可愛い♪」
「……そうだな」
賑やかで華やかな空気の中――時に突っ込みをかましつつも、のんびりと今年も2人で仲良く過ごす。
「わ、あちらの!」
「まだ買うのか?!」
恋人同士ではなくとも、得難く――そして、かけがえのない存在であることは確かだから。