■クロノス大祭『猫々交響曲第一章 -熾火のぬくもり-』
クロノス大祭。大切な人と過ごす年に一度のお祭り。ラグナとメイの二人もその例に漏れず、大切なお互いと、それぞれがサーチウィズバルカンで召喚するバルカン達と過ごしていた。
大切な人、とは言ってもこの二人は恋人同士という訳では無く、家族の様なものと言うのが本人達の談。
レンガ造りの暖炉と、二人が召喚したバルカン達の尻尾で照らされた部屋。その温もりあふれる部屋の敷布の上で胡座をかくラグナ。
その足の上ではラグナのバルカンの片割れ、ミーアが丸まって眠っていた。
そんな幸せそうなミーアを見たメイは、真似するかのようにラグナの膝の上に頭を乗せて横になる。
「星霊とは言え人懐っこい猫というのは実に和みますね」
「そうだねー……でも、なんで猫ってくっついて丸くなるんだろうねー?」
うっとりとしたラグナの言葉に、ふとメイが疑問を口にする。
「猫がくっついて丸くなる理由……独りより、一緒の方がより暖かいからと言うのはどうですか?」
「……そっか、幸せは暖かいんだねー♪」
お腹の上で丸まってるメイのバルカン、アリルの顎を指で撫でながら、メイは機嫌よさげにラグナの膝に頬ずりをする。
ラグナの頭の上に陣取ったバルカンのミウンと、メイの足にじゃれ付いたバルカンのコリンも、それぞれの体温を感じるようにくっついていた。どのバルカンも、主人達が大好きなようで、幸せそうにくつろいでいる。
「……ところでメイさん、ご機嫌なのは良いのですが何故膝枕を……」
「みんなでぬくぬくしたいからだよー、ねー♪」
同じくラグナの足の上に乗っかっているミーアに同意を求めながら、メイは頬ずりをやめない。当然、とばかりにメイのおなかの上のアリルや足にじゃれ付くコリンも、更にはラグナの頭の上に居たミウンまで、ミーアと共に同意するかのように「ニャー♪」と鳴いた。
ラグナも嫌ではないどころか、嬉しそうにメイの頭を撫でた。
お互いと四匹分のバルカンの温もりを感じつつ、クロノス大祭の夜は更けていった。