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2人でクロノス大祭

トルメンタ・ロト
グロリア・リラ

■クロノス大祭『Night of a shooting star』

 夜空を彩る星――澄んだ空気に星の瞬きの音まで届きそうだ。
 自旅団の廃墟の屋上で、兄妹がのんびり夜景色を眺めている。
 星ばかりでなく、金色の粉が降り注いで瞬いている幻想的な光景に、リラは「流れ星みたい!」とはしゃいだ声を上げた。
 そんな妹の姿にロトは意識せず口元に笑みを刻む。
 2人はホットミルクの入ったカップを持っていた。ミルクはロトの好みで入れたものだ。
 コクリと飲んだロトは「あったまんな〜」と満足気な声を上げた。
 呟きと共に吐く息が白く染まり、ホットミルクからの湯気も白く立ち上っていく。
 リラもロトの用意してくれたホットミルクを一口飲んだ。
「お兄ちゃん、お砂糖いれすぎ〜」
 飲みこんで、苦笑いした。
「あたしはコーヒーが良かったな。ブラックの」
 元気で明るいリラは、純粋ゆえに自分が思うままをあっさり言葉にする。
「それじゃ俺が飲めねえってッ!」
 ロトの切り返しに「アハハッ」とリラは笑った。
 しばらく笑いつつもも、リラはふいにくしゃみをした。夜に出歩くには少々薄着だったのだ。
 そんなリラの様子を見たロトは「だから上着着て来いっつったろ」と苦笑した。
「ったく。……ほら」
 言いながら、ロトは自分の上着をリラに貸してやる。
「ごめん、お兄ちゃん」
 リラはロトの上着をはおった。ほんのりと、ロトの体温の余韻で温かい。
 謝りながらも、嬉しそうにはにかむ。
(「えへへ♪」)
 これが目的で薄着――なんてことはない。そうだとしても、言わない。
 笑顔のリラの様子に、なんでもないことのようにロトは「おーよ」と応じた。
(「……結構寒ぃな」)
 上着をなくしたロトは白い息を吐くが、リラにそう思っていることがバレないように、強がってなんでもないふりをする。
 それを見かねたスピリットのコヨーテがそっとロトに寄り添ってきた。
 リラはロトの強がりは分かっている。
 でも……だけど。
「えへへ……お兄ちゃん、大好き!」
 言いながら、リラは嬉しそうに笑った。
 リラの言葉にロトはゆるゆると瞬く。
 ふと口元に笑みを刻み「おう」と当然のように頷いた。
イラストレーター名:もえ太