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2人でクロノス大祭

煌雪華・ユキノ
誓約の剣・ルインズ

■クロノス大祭『金色と白色の光の中で』

 素晴らしい一日だった。
 時計塔広場で恋人と待ち合わせ、それだけで去るには惜しいからと、手を引かれて広場を散策した。
 よく晴れた空に雪と金砂が舞う景色も然ることながら、自分達と同じように待ち合わせる姿がそこかしこで見られ、初々しい友達以上恋人未満の二人には思わず微笑をこぼして、人で溢れかえる前にとバザールへ向かう。
 もっとも、移動した先は既に人でいっぱいであり、出店の並ぶ通り全体が、今が雪の降る季節だと忘れそうな程の熱気と活気で満たされていた。
 色とりどりの装飾で飾られた商品に眼を奪われていれば、あっという間に時間も過ぎ去るというもの。
 夕暮れ時。手を重ねて、そっとバザールを後にした。
 向かったのは金砂と雪の舞う庭園。ちらほらと先客の姿もあったが、先程のバザールに比べれば人の密度も数も少ない。
 が、そこは恋人との逢瀬だ。二人きりの時間も欲しいと、自然と人気のない所へと足を向ける。
 小高い丘になっているその場所からは祭の灯りが見下ろせ、雪と金砂がその灯りに煌く、ただ一時限りの素晴らしい景色。
 今、ユキノとルインズに言葉は要らず、ただ寄り添って立っている。瞳に焼き付けるようにしばらく風景を楽しんでいたユキノは、隣に立つ恋人……ルインズへ視線を移して微笑む。
 言葉の無い中でも、きっと同じように今日を振り返り、大切な思い出を胸へ仕舞っていただろう恋人。
「バザールのクロノスグッズが可愛かったですね。色々と回って、今日はとても楽しかったです♪」
「えぇ、そうですね。とても良い思い出が作れました」
 微笑み返したルインズが、もう一度景色へと視線を向ける。
「……本当に素晴らしい景色です。こういった特別な日には、少し……口が軽くなってしまいそうだ」
 言葉の先を待つユキノへ、ややあってルインズは向き直り、漆黒の瞳を見つめる。
「ユキノ、貴女を愛しています。……本当に、心から」
 喜びと感激に見開かれた黒い瞳には、白と金のイルミネイションに彩られた、大切な人の真剣な顔が映る。
「嬉しい……とても嬉しいです。私もルインズさんを愛しています」
 温かな感情でいっぱいになった心を抱き締めるように、両手を胸元で重ねて告げる、愛の言葉。
 頬を赤らめたユキノは、ルインズの顔を見上げる。
 自然にルインズの指が、ユキノのおとがいへ触れる。
 目を閉じたルインズの顔が、ゆっくり近付いてくる。
 ユキノもそっと目を瞑った。
 唇に触れた温かさは、金砂のように消えたりはしなかった。
イラストレーター名:つかPON