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2人でクロノス大祭

標得し旅人・クルード
戦うメイドさん・ヴィクトリア

■クロノス大祭『灯すは温もり』

 オレンジ色のあたたかな照明の灯された室内。テーブルの上には七面鳥の丸焼きにスープ、サラダに焼きたてのパン。
 所狭しと並べられた料理の数々は、大祭の夜を祝うのに相応しい豪華なものであると言えるだろう。
「確か貰い物のワインもあったはずですから、それも出さなければなりませんね」
「ああ、俺が持ってくるよ」
 クルードはワインを保管している棚に向かおうとするヴィクトリアにそう声をかけて引き留め、自身が棚へと向かった。
「ヴィタと一緒に過ごす様になってからは、どんどん動かないと俺のすることがなくなっちまうぜ」
 一人の時は一応自分で色々とやっていたんだがと、クルードは苦笑交じりに言う。
「それにしても……綺麗ですねぇ」
 ヴィクトリアは出来上がったばかりの料理をテーブルに置くと、すっかり暗くなった窓の外を見つめ、ほうと感嘆の息を吐く。
 クルードはワインのボトルを置き、彼女と同じように視線を外へと向けた。
「色んな場所に足を運んだが……金色の砂に雪、ってのもまた綺麗なもんだな」
 金と銀の粒はわずかな光を受けて輝き、言い表せない美しさを放っている。
 二人はしばらく無言のまま、その光景を見つめていた。
「今は、一人じゃなく二人でこういう物を見れるんだから……俺は幸せ者だよ」
 ふとクルードが静かに言葉を紡ぐ。
「私もこの景色をクルードさんと見られることが、とても嬉しいです」
 ヴィクトリアは彼を見上げ、にこりと微笑んだ。
「来年も、美味しい料理を一緒に食べましょう? きっと別の都市で過ごしているでしょうけれど……あなたと一緒なら、どこでも幸せですもの」
 クルードに寄り添い、ヴィクトリアは目を伏せる。
「私を幸せにして下さいね、旦那様。私もあなたに精一杯の幸せを贈ります」
 ささやくような甘い誓いにクルードも柔らかい笑みを浮かべ、ヴィクトリアの手をそっと握りしめる。
「君を必ず幸せにするよ。一人だけじゃなくて、お互いがお互いを想いあう……そんな幸せを俺は望むから」
「ふふっ。……愛してますよクルードさん」
 幸せそうに笑う彼女の手を口元に寄せ、クルードはその指先にと口付けをひとつ落とした。
イラストレーター名:くろにゃこ。