ステータス画面

2人でクロノス大祭

火眼黒装の剣士・グスタフ
散椿の黒猫・エレナ

■クロノス大祭『Je ne peux pas vivre sans toi.』

 グスタフとエレナは愛し合う恋人同士であり、将来を誓い合った婚約者。
 朝から共に過ごした賑やかなクロノス大祭も、気付けば辺りは薄暗くなり、やがて夜がやってきた。
 二人は街の中心、時計塔の下へと足を運んだ。
 黄金の空に純白の雪が舞い降り、二人の時間を幻想的に彩る。
 見つめ合うふたりの頭上で、丁度、時計の長針が天頂を指した。
 それと共に現れた楽隊が美しい旋律を紡ぎ、恋人達の人形が、その美しいメロディーに祝福されるかの様にダンスを始めた。
 想像以上の光景に、目を奪われる二人。
 ふと、グスタフは傍らのエレナへ視線を向ける。
 金砂と白雪の舞う世界で、傍らに立って時計を見上げている愛しい人の横顔に、思わず息を呑む。
 美しかった。
 だが同時に、彼女のあまりの美しさが、今のこの幸福が幻想であるかのように錯覚させた。
 舞い散る金砂のごとく、彼女もまた溶けて消えてしまうのではないか。ふと浮かんだ考えに、彼女と繋いだ手を瞬間、きつく握ってしまった。
「グスタフ?」
 エレナがやや驚き、彼の表情を伺うようにこちらを見る。そして、グスタフの顔を見て、全てを察した彼女は彼にそっと手を差し伸べる。
「……もぅ。心配しなくても大丈夫、私はずっと……貴方の傍にいるから」
 グスタフの頬に手を添え、柔らかく、微笑むのだった。
 愛しい彼女の笑顔が、言葉が、そして頬に当てられる手の感触が、グスタフの心を満たす。
「ありがとう……君はいつも、俺の心を全て満たしてくれる」
 愛しい彼女を強く抱きしめ、視線を絡め、想いを込めて一息に紡ぐ。
「愛してる……ずっと、一緒に居て欲しい」
「私も……もう、貴方がいない自分なんて考えられない」
 エレナも、柔らかく、包むように……抱き返す腕に力を込める。
「身も心も、貴方と共にあるんだって……。ね、今……私にそれを感じさせて……?」
 恋人達は引き合うように、身を寄せ、唇を重ねる。

 大好きなあなたと、一つになるように。
 愛しい想いを、幾重にも重ねて。
イラストレーター名:黒無