■クロノス大祭『プレゼント交換』
窓の外では、金の砂と白い雪が舞う特別な日。部屋の隅に、飾り付けたツリーを置き、二人でお祝いする。
「メリークロノスです、カロ君」
そう言い、メニメは用意したプレゼントの包装をソファーの上で解いた。
取り出したのは、黒い兎をかたどった手編みのマフラー。
メニメは、頑張って編んだふわふわのマフラーを手に、喜んでもらえるかドキドキしていた。
「かけても良いでしょうか?」
(「……うなずいてくれます? ちょっと恥ずかしがります?」)
メニメの問いにカルロは、恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、こくんと頷く。
メニメは暖炉の傍に立つカルロの傍まで歩み寄り、ふわり、とカルロの首にマフラーを巻いた。
兎の顔が前にくるように位置を直し、一歩下がって聞いてみる。
「どうでしょうか?」
カルロは、自分の首に巻かれたマフラーに触れ、かすかに微笑んだ。
「……あったかい」
(「カロ君、嬉しそうです」)
メニメはカルロが喜んでくれているのが分かり、嬉しくなった。
頬を少し赤くして、カルロは自分が用意したプレゼントの包装をガサゴソと開ける。
この日のために、カルロもメニメに似合うプレゼントを探したのだった。
カルロは、取り出したキャスケットを手にして、首を少しかしげた。
「……ボクも、いい?」
「カロ君」
メニメは瞳を輝かせた。
が、頭の上に被せるために二人の間にある距離を縮めたカルロを見て、ふと届くか心配になった。
メニメの戸惑いには気が付かないカルロは、そっと頭の上にキャスケットを被せようとしてくれる。
(「あ、でも」)
その動作が自然で、はっとした。
(「いつの間にかこんなに頭に触れられるほど、背が高くなったんですね……」)
よく見ると、雰囲気も以前より少しだけ成長しているように感じる。
しみじみして、胸の中が温かくなっていることに気が付き、メニメは照れ笑いを浮かべた。
被せた帽子を整え、カルロは少しはにかむような表情で小さく呟く。
「……メリー、クロノス、おねーちゃん」