■クロノス大祭『街で2人でクロノス大祭』
日は昇り、バザールも賑わいを増してきた。街を人形楽隊が歩み始め、パレードとパレードが合流していく。そんな街中を過ぎ行く人たちも、慌しい雰囲気が作り始められ、ラッドシティの空気に漂う紫煙は、ゆっくりと純白の雪と金色の砂に塗りつぶされ始めていた。
そして、二人は花壇の前で待ち合わせをしていた。
「そんなに装備いりますか?」
ティアがエリックの詰まったリュックサックを見て笑った。ぎっちりと何が詰まっているのか分からない。そういうティアは至って軽装だ。
「メイズの中に何があるのかわかりませんからねー」
エリックは胸を張るようにして歯を見せて笑った。オーバーオールの肩がずれて、それを慌てて直した。
平和に言葉を交わしていると、通り行くカップルが、おっ、と声をあげた。その声にエリックとティアは振り向くと、男性の方が空を指差していた。
つられてカップルの女性が、そしてエリック、ティア、周囲を行く人々が空を見上げた。
おおっ、と歓声があがる。
雪と金色の砂が、風に舞って上空を渦巻いていたのだ。その風は何層かに分かれていて、まるで金色の大きな鳥が羽ばたいたように見えた。
歓声を挙げた周囲の人たちは、互いに笑顔を交し合った。良いものを見たと、足取りが軽くなる。
エリックとティアも、笑顔を交し合う。
「そろそろ出る?」
そして、二人は軽やかに目的の地へと歩き出したのだ。幸先は良さそうだ。
パレードを横目に、二人はやがて目当ての場所につく。
広場には同じようにエンドブレイカーたちが集まっていた。
「ここがメイズですか……エンドブレイカーとどんな関係があるのでしょうか?」
「これで色々な謎が解けるといいんですが」
お互いに胸のドキドキを確認しながら、その迷宮の入口に立つ。
「ではお互いに気をつけて進みましょうね、二人で祭りを楽しむ為には両方無事じゃないといけませんしね」
「はい! 気を付けていきましょう。お祭り待ってますものね」
そうして、二人はクロノスメイズへと踏み込んで行ったのだった。