■クロノス大祭『雪降る園で、2人』
ふわふわと純白の雪が輝きながら舞う。雪を輝かせているのは金色の砂。「綺麗だね……」
ルクスは傍らに腰掛けているメシュティアリアに微笑みかけた。
「うん、凄く……」
幸せそうに微笑むメシュティアリアがルクスに寄り添う。ルクスは寄り添うメシュティアリアの髪を優しく撫で、すっと雪の中へ手を伸ばした。
「不思議だね……触れると解けちゃう……」
雪が解けてしまうのは分かりきっているが、砂も解けてしまう。
メシュティアリアもルクスを真似るように手を伸ばした。掌に舞い降りた雪と共に金砂も解けて消えてなくなる。
「うん……なんだか勿体ないね」
くすっとメシュティアリアが笑った。そこへ、すっとルクスの腕が肩に回された。
「……っ」
ドキリとメシュティアリアの鼓動が少しだけ高鳴る。一緒に温泉にも行った。シャルムーンデイには一緒に甘いパフェも食べた。キスだってした。でも、ちょっとした触れ合いでドキドキする。――大好きな人だから。
「どうしたの?」
ほんのり頬を赤らめているメシュティアリアに、少しだけ悪戯っぽくルクスが笑いかけた。
「な、なんでもないよ」
照れ隠しにルクスから顔を逸らすメシュティアリア。視線が宙を彷徨っている。
「……今年もいっぱい色々あったね」
メシュティアリアの機嫌を直させようと話題の転換を試みたルクス。
「そうだね……アクエリオ水神祭では一緒にディオスボール頑張ったね」
ルクスの試みは成功したようで、メシュティアリアはその時の事を思い出して笑顔を広げた。
「ねぇ、メシェ……」
ルクスは、肩に回した手で優しく髪を撫でながら一呼吸おく。そして、メシュティアリアを真っ直ぐ見つめ、
「今年も……こうして一緒に居られて幸せだよ」
ふわりと優しく微笑んだ。
「うん……」
メシュティアリアも真っ直ぐにルクスを見つめ返して頷く。
「大好きだよ……」
「私も……大好き」
視線と共に想いも交わし合う2人。幸せそうな微笑みを広げたメシュティアリアがルクスの胸に飛び込んだ。ルクスも優しく抱きしめる。
雪の園の中2人きりで――。