ステータス画面

2人でクロノス大祭

いつか本気に・ウメマル
流浪パティシエ・アミュグデール

■クロノス大祭『親友と二人っきりのクロノス大祭』

「おしっ!」
 ウメマルは今日の為に部屋を飾り付けをした部屋と、用意したたくさんのご馳走を前に満足げな声を上げた。
 来客を知らせるチャイムに「来た来た♪」と意識せず独り言すら弾む。
「今宵はお招き有難う」
 想定どおりの相手……アミュグデールを迎え、ウメマルは「いらっしゃい」と全開の笑顔を見せた。
「今日という日が君にとって特別な一日になるよう。さあ、一緒に祝おう!」
 ウメマルに誘われたアミュグデールは、豪奢に飾り付けられた部屋に「へぇ」と感心した。
「ロマンチックだろう?」
 感心するアミュグデールにウメマルは満足気に笑う。
「二人だけのパーティーなんてわくわくしちゃうな。ケーキやお菓子の差し入れは万全だよ」
 アミュグデールはご馳走の隙間をさらに埋めるように、差し入れを置いた。
「とびきり楽しいパーティにしよう!」
 ご馳走に遜色しない差し入れと 笑顔の宣言にウメマルは目を丸くしながら「アミュからの差し入れには驚かされるよ」と呟いた。
(「さすがお菓子作りのプロといったところか、これは期待できそうだ!」)
 ワクワク感が増していく。そんなウメマルにアミュグデールは「まずは乾杯かな?」と用意されていたジュースに手を伸ばして声をかけた。
「星霊クロノスに? 僕達の友情に……それとも? ――ええい、みんな纏めて乾杯しちゃおうか」
 アミュグデールの言葉に「賛成」とコップにジュースを注ぐ。
「乾杯!!」
 最初は二人で乾杯し、卓の上、賑やかに並んだ料理やケーキに舌鼓を打つ。
「ねぇウメ、これは何処から仕入れて来たの?」
 アミュグデールの問いにウメマルはスラスラと答えた。おいしい料理に会話も弾む。
「このお菓子は僕の自信作なんだよ、食べてみて?」
「もちろん、いただくよ!」
 アミュグデールの言葉に明るくウメマルは頷いた。
 お腹が膨れたところでそのまま流れるようにカードゲームに興じる。
 お腹は一杯で会話は弾んで、笑いも途切れない。
 一旦沈黙が流れた。けれど、それは決して重いものではなく。
「――アミュ、君の旅路が幸運に恵まれたものでありますように。心から祈ってるよ」
 その言葉にアミュグデールはゆるゆると瞬いた。
「君と一緒に過ごせて幸せだよ。いつまでもずっと仲良くいよう」
 ウメマルは言葉を重ねて微笑む。

 ……キャンドルの柔らかな光の中に居るといつもより気分が高揚する感じがした。
(「ウメと居ると飽きないもの。幾らでもこうして過ごせそうな気がするよ」)
 アミュグデールはウメマルの言葉に心の中だけで応じた。
「――ウメの事、もっといろいろ聞かせて欲しいな」
 今度は、声にして伝える。
「夜はまだまだこれからだよ。蝋燭の灯に負けないくらい暖かなひとときを過ごそう」
 大切な人が恋人だけとは限らない。
 大切な友。――掛け替えのない親友。
 特別な夜に、互いにこれからのことを語り明かすのも良い。
イラストレーター名:荊原アザミ