■クロノス大祭『来年も、再来年も、ずっとずっと』
雪の庭園は、空から降る金の砂と白い雪で幻想的に彩られていた。「遅くなっちゃったけど、アンちゃんと一緒に来れて良かったよい」
クジャはアンティークを優しい表情で見つめた。
輝きながら舞う金の砂と白い雪の景色は、一年に一度しか見ることができない特別なもの。それを一緒に見れて嬉しい。
雪の上を歩く足音が、サクサクと心地好く耳へ届く。
クジャは、ふと足を止めて首をかしげた。
「アンちゃんはお昼から頑張って参加して疲れちゃってるんじゃねェかな?」
アンティークも足を止め、昼間のことを思い出す。
「お昼のクイズ、難しかった、です……。でも、雪や金の砂は、夜の方がキラキラ綺麗で、クジャさんとお出掛けできて、よかったです、よ」
アンティークは、そう言ってはにかむような表情を浮かべた。
「とりあえずアンちゃんの荷物は俺が持ちまさァ」
「わ、わ……、荷物、重くない、ですか?」
二人は、そんなやりとりをしながら、また雪の庭園を歩き出した。
「雪も、金色の砂も綺麗だねー。この世界にはもっともっと綺麗な景色があるのかね」
「綺麗な景色。きっと、あります、よ」
(「わたしの目に映る綺麗なもの、同じように綺麗だって映ればいい、な。その景色の中に、クジャさんが居れば、もっと、キラキラ」)
クジャがふと隣を見ると、アンティークは嬉しそうな顔で景色を見ていた。
その笑顔に心が和んで思わず見とれてしまった。
ちょっとドキドキしつつ、クジャはそっとアンティークの手を取った。
(「冷てぇよい」)
すっかり冷えたアンティークの手を、温めるように優しく握る。
アンティークもそっと握り返し、クジャを見上げた。
目が合い、恥ずかしそうに微笑むアンティークに、クジャも笑顔を向ける。
「来年も一緒にこの日を過ごそうよい、ね、アンちゃん!」
アンティークは少し頬を染めて小さく頷いた。
(「来年の冬も、今年と同じように。雪の中に、わたしのキラキラさんがいれば、それは、なんて綺麗な」)