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2人でクロノス大祭

駆け巡る駿馬・ポニー
守護者・ガルスタ

■クロノス大祭『聖夜』

 今日は一年に一度の特別な日。
 ポニーとガルスタは、暖炉の炎がパチパチと音を立てる部屋の中で過ごしていた。
「クロノス大祭ですか……ラッドシティにも、この日を祝う祭りがあるとは奇遇ですね」
 ガルスタは、用意したリボンつきのワインをテーブルの上に置いた。 
「一人よりも二人、お祭りはやっぱり誰かと楽しんだ方が得よね……一人だと寂しかったとか言わないわよ?」
 ガルスタのワインの隣に、ポニーは自分で用意したワインを並べて置き、冗談ぽくウインクする。
 ガルスタが笑ったので、ポニーは付け加えた。
「仕方ないじゃない相手いなかったんだもの。いつも遊んでくれてありがとうね、感謝してるのよ」
 こちらこそと恐縮し、ガルスタはふと思ったことを口にした。
「家族で過ごす方、恋人と過ごす方、友と過ごす方、色々な祝い方があるとは思いますが……まさか、故郷を離れた地で共に祝う方ができるとは思いませんでしたね」
 見れば、暖炉の炎に照らされるポニーの横顔は朗らかで明るい。
(「ポニーは私にとって姉のような、妹のような、なんだか不思議な女性です」)
「一緒に楽しんでくれる人がいるっていうのは、嬉しいことね」
 ポニーはガルスタを見上げて微笑み、テーブルの上を指差した。
「それに、プレゼントもありがとう」
 礼を言ったついでに、私たち気が合うのかしら、と冗談を交えた。
「せっかくの機会ですので、プレゼントを用意したのですが……まさか、ポニーさんからもいただけるとは思っていませんでした」
 二本のワインボトルを見つめるガルスタに、ポニーは苦笑を浮かべる。
「慌てて準備したものだから……気に入ってくれるといいんだけれど」
「もちろん、とても気に入りました」
 酒が好きなガルスタにとって、この上ない素敵な贈り物である。
「私は自分の趣味で選んだのに、ポニーさんは私に合わせて選んで下さったみたいで、申し訳ないですね」
 自分だけ得をしているような気がすると言うガルスタに、ポニーはそんなことはないと笑った。
「せっかくですので、どちらか開けて飲んでみましょうか」
 ガルスタがワインボトルへ手を伸ばそうとしたところで、ポニーが首をかしげた。
「あら、どちらかだなんて言わずに、どちらも開けましょうよ。今日はお祭り、まだまだ夜は長いんだから」
 そうですね、とガルスタもその気になる。
「今日はお祭りですしね」
「……そうね私は先に白ワイン貰おうかしら。お酌してあげるわよ、ロゼワイン」
イラストレーター名:米子