■クロノス大祭『繋いだ手にある幸せ』
デートの帰り道。空から降ってくる金の砂と白い雪が、とても綺麗だった。
(「なんだろう。いつもよりシラユキを意識して、目を合わせられない」)
カグラは、緊張して下を向く。
先ほど、告白をしたばかりで、まだ胸がドキドキしていた。
(「でも、俺まっすぐ見たい。でも俺きっと顔真っ赤だし、見られたくないな……」)
お互いにつないだ手から、ぬくもりが伝わってくる。
そんなことにすら照れて顔が赤くなる。
(「うん、今は手を握ってられるだけでも幸せ!」)
もう寒いのか、熱いのか分からない気分だ。
(「あ、でもやっぱり見たいな……」)
そう思って、チラッとシラユキを見ると、シラユキもカグラを見ていた。
うっかり目があって、二人とも真っ赤になる。
カグラは慌てて浮かんだ言葉を口にした。
「そういえばさ、シラユキ。そのカッコ似合ってるよ。髪型もその……可愛いよ」
シラユキも少し高い声で答える。
「あ、ありがと……カグラも似合ってるよ、髪型」
シラユキは思わず視線を外して、うつむいてしまった。
(「全く意識していなかった……って訳じゃないけど」)
いざこうなると、シラユキは一体どんな顔をしていいのか分からなかった。
(「ていうか、カグラの顔が見れない……! 俺、絶対顔赤いし!」)
「なんか、こうしてるとちょっぴり気恥ずかしいね」
カグラはそう言って笑った。
言葉にされると、よけいに照れてしまう。
「……言うなよ、バカ……」
ますます下を向いてしまったシラユキの手を、カグラはぎゅっと握りなおした。
「ともかく、さっきもだけど俺の気持ちは伝えたからね!」
「……うん……」
シラユキは顔が熱くなってきたのを感じて、ボーっとした。
(「何か上の空で全部カタコトになっちゃう……」)
返事は決めてる。
カグラと一緒に居ると楽しいし、これからも一緒にいたい。
「……凄い嬉しかったよ、カグラの気持ち」
シラユキはいったん言葉を切って、深呼吸してから顔を上げた。
「俺で良ければ……お前のヒロインに、なってやる」
頑張ってカグラの顔を見つめて返事を返す。
(「……駄目だ、死ぬほど恥ずかしい」)
シラユキは恥ずかしさのあまり、手を放そうとした。
すると、カグラは真剣な顔でシラユキの手を捕まえた。
「俺はこの手を放す気はねーよ。俺の居場所はここなんだから」