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2人でクロノス大祭

護りの砕拳・ギムレット
桜花のサクラメント・リーゼ

■クロノス大祭『聖夜に君と』

 金色と純白に包まれた幻想的な夜。
 この空の下で、誰もが特別な時間に包まれている。
 ギムレットとリーゼも、この光景を味わっていた。町は白一色に染め上げられ、その合間に金色の砂が潜んでいく。その様子はただ静かに眺めているだけで良い。その内に、自分たちの心も純白に染め上げられ、きらきらと輝く黄金が潜んでいるような、そんな荘厳でどこか切ない、胸が締め付けられるような想いになる光景だった。
「綺麗……」
 リーゼが、言葉少ないギムレットの変わりに感想を漏らす。
「ああ……本当だ」
 ギムレットはリーゼの言葉に同意する。そして、二人とも黙り込む。
 この光景を前に言葉は要らない。リーゼはそう思っていた。ここで余計な感想を漏らすような人はダメなのだ。だからこそ、ギムレットが余計に愛おしく感じる。そんな想いを噛み締めた。ただ余計な解説を抱く自分もおかしくて、もっと無心になって目の前の光景を見ようと決心した。
 しかし、リーゼはすぐに違和感を覚えた。ギムレットも見入っている訳ではないことに気がついたからだ。それと言うのも、ギムレットの視線はリーゼの方へちらちらと動いているのである。
 リーゼはギムレットの視線を感じて、少し悲しかった。一緒にこの光景を目に焼き付けているだけで良かったのに、さっきまでの想いが台無しになってしまったように思えたからだ。

 一色に染まっていく雪の間に、金色の砂が混じる。しかし、舞い降りるそれらに手を伸ばせば、金色の砂は夢のように消え去り、純白の雪は形が崩れて雫となる。そう、実際に触れてしまうと全て崩れ去ってしまうのだ。
 本来なら、それは美しい姿の一つである。けれど、今のリーゼには悲しい変化のように思えてしまった。

 ギムレットがリーゼに一歩近づく。リーゼは意を決し、黙りなさいとばかりにキッと睨みつけて振り返った。
 その視線に、ギムレットの表情は困惑していた。その手には何やら箱がある。
「こういった祭りにプレゼントは付き物だろう……その、何だ…取っておけ」
 意を決したのは、リーゼではなくギムレットだったのだ。リーゼは視線のやり場に困ってきょとんとしてしまう。ギムレットの顔は見れず、差し出された箱をただ受け取るしかなかった。
 とても綺麗な箱だった。可愛らしい色調の包み紙に、高級感漂う店名が印字されている。ギムレットが一人で入るには難しい店だろう。その店の中で、四苦八苦しながら買ってくれた様子が目に浮かんでくる。
「ありがとう」
 ギムレットが愛おしくて、リーゼは溜まらなく笑顔が溢れ出した。その表情に、緊張していたギムレットもほっと息をつき、口元が思わず緩んでいった。
 リーゼの肩に、ギムレットの愛情がかけられる。凍えるような長い夜だったが、それから二人は言葉を発することなく、その場でずっと眺め続けたのだった。
イラストレーター名:しろる