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2人でクロノス大祭

水牡・アイン
秋宵の灯火・トバト

■クロノス大祭『VOL DE NUIT  君と共に』

 静かに、静かに。真っ白な雪と金の砂が街に降り、積もる。
 家族勢ぞろいで過ごす特別な夜に、欄干に背もたれ、橋から見える綺麗で幻想的な景色を見ていたアインは、隣ではしゃぐ大事な家族に顔を向けた。
 冷たいけど綺麗な雪を集めて、トバトがぺたぺたと作るのは大きな大きな雪だるま。冬と言えばこれだろうと、彼は作り続ける。
 なかなか終わりそうもないその作業を見続けていたアインは、白い息を吐き出しトバトの後ろに回って抱きしめた。
「……雪だるまもいいけど、少しは構ってくれよ?」
 頬と頬をくっつけてぬくもりを確かめる。一瞬冷たいかと思ったが、トバトの方からも頬を寄せてきた。
「ごめんごめん」
 ちょっと夢中になりすぎたかな? と内心で反省しつつ、トバトは大切な人に微笑んだ。
「作って、アインに見せたかったんだよ」
 そう言ってもう一度ごめんと謝れば、アインは一瞬目を丸くして腕の中の愛しい人を見つめた。
「……俺に?」
 問いの返しは、トバトの少し照れたような笑顔。アインは笑み返し、少し強く抱きしめた。
「そっか、有難う」
 しばしその温もりを感じ合っていた二人は、見つめているペット達の視線に気付いて少しだけ離れる。
「退屈しないように、何かしてあげないとな?」
「……せっかく一緒に来たんだもんね」
 だって、この子たちも家族だから。
 猫のおはぎときなこには、小さな雪だるまを作ろうか。待っててね、今作るから。
 じゃあ、白鳩の翔はどうしようか。
「って、俺の頭上か」
「翔がいると温かいよ」
 トバトの頭の上ではなく、アインの頭の上に翔を乗せて。
 手伝うとさすがに落としそうなのでしゃがむだけに留めて、アインは雪を丸めるトバトを愛おしそうな笑みで見守ることにする。
「今日も楽しいな……沢山笑えるのも皆のおかげだよ」
 見上げるおはぎときなこに、見下ろしてる翔に。そして心の拠り所の、アインに。
 トバトは嬉しそうに微笑んで言った。
 ――ありがとう。
 家族と過ごす時間は楽しくて、温かい。いつも感謝でいっぱいだと、気持ちを込めて。
 その笑みを受けて、アインも笑みを返す。
「……笑顔の絶えない家族でいような。大事な俺の家族」
 ――絶対に守ってみせる。

 雪は冷たいけど、でも寒くはない。
 ……家族みんながいるから。
イラストレーター名:ぴま眞白