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2人でクロノス大祭

夢紡・フェリス
夢織・ルミナ

■クロノス大祭『ゆっくりと更けていく優しい夜』

 外では、金の砂と白い雪が舞う一年に一度の特別な日。
 暖炉で暖められた部屋で、フェリスとルミナは、綺麗にセッティングしたテーブルに向かい合って座っていた。
 お祭りということもあり、パンやスープ、サラダの他に、メイン料理としてハンバーグを用意しての夕食だった。
 フェリスは昼間1人で出かけたこともあり、夜の時間はルミナと一緒に過ごそうと決めていた。
 それは穏やかな時間だった。
 二人の金色の髪に暖炉の炎が反射して、時折きらきらと光る。
 ルミナは、メインのハンバーグを口へ運んだとたん、そのとろけそうな美味しさに幸せ一杯の顔になった。
「ん〜、やっぱりお姉ちゃんのハンバーグおいしいねー」
 そんな妹の様子を、フェリスは頬杖をついて優しい表情で眺めていた。
 ふと、視線に気づいたルミナが顔をあげると、フェリスはにこにこしながらルミナを見つめるばかりで、自分の分に手をつけていない。
 ルミナは、不思議に思って首をかしげた。
「お姉ちゃん、冷めちゃうよ」
「ルーがおいしそうに食べてくれるから、嬉しくてね」
 そう言うとフェリスは、自分の分をルミナへそっと差し出した。
 ルミナの喜ぶ顔が見たくて、フェリスはルミナの好物であるハンバーグを腕によりをかけて作ったのだった。
 だから、こんな風に喜んでもらえるなら、自分の分も食べてもらいたい。
 食いしん坊みたいじゃないとルミナはすねたが、それすら愛おしくて、フェリスは目を細めて妹を見つめた。
 ルミナは大好きなハンバーグを食べながら、お祭りでの出来事を話しはじめた。
 昼間はフェリスが出かけてしまい寂しかったものの、新しくできた友達とお祭りを楽しんでいた。
 フェリスはルミナの話に耳を傾け、時折相づちを打つ。
 聞いてもらえるのが嬉しくて、ルミナは無邪気にはしゃいでいる。
 お祭りで見たものや遊んだものを姉に聞いてもらいながら、姉妹だけで過ごす静かで優しい夜の時間は、ゆっくりと過ぎていく。
イラストレーター名:hatsuji