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2人でクロノス大祭

終焉の宵・ヨギ
灰星の亡霊・ケント

■クロノス大祭『ずっと一緒に』

 クロノス大祭。
 ケントとヨギが恋人になってはじめてのお祭り。
 ――なのだが、残念ながらケントには用事があり、二人一緒に過ごすことは出来なかった。
「ほんと、ケントも来ればよかったのにー」
 夜だけでも一緒に過ごそうと急いで帰ってきたケントに、ヨギはクロノスメイズの難しかった問い掛けや大祭であった土産話を沢山話し、「来年こそ、一緒に参加しよーね?」と、悪戯っぽく笑みを向ける。
「悪かったって。ほら、プレゼント」
 ヨギが前から欲しがっていた、バルカンの編みぐるみを手渡す。
 今日のために、時間と手間をかけて手編みした一品だ。
「ありがと! 俺、すっげー嬉しい!!」
 満面の笑みを浮かべて喜んだヨギは、自分が用意したプレゼントをいそいそと取り出し渡す。
「――どうだ?」
「似合う似合う!」
 ヨギからプレゼントされたのは、洒落たデザインのイヤーカフス。
 一生懸命選んだプレゼントを早速つけてくれたケントに、ヨギは少し恥ずかしそうに笑う。
 そうして照れ隠しに、自分が貰った編みぐるみを大事そうに抱きしめるのだった。
 残念ながら一緒に街を回ることは出来なかったが、それで祭りの日が台無しになるわけではない。
 部屋のソファに仲良く並んで座り、二人だけのささやかなお祝いを。
 お互いが渡したプレゼントや、クロノス大祭の話に花を咲かせ、穏やかな夜を過ごすのだった。
「――だろ? そこで俺、は…………」
 まだまだ尽きぬ思い出話の最中、不意に訪れた睡魔がヨギを眠りに誘う。
 今日は朝早くから謎解きに戦闘にと張り切っていたため、その疲れが出たようだ。
(「せっかく一緒に過ごせる貴重な時間なのに、こんなとこで寝るなんて……」)
 と思うものの、眠気には抗えない。
 隣に座る恋人を想いながら、この幸せな時間が続けばいいのにと願いつつ眠りに落ちる。
「…………ん?」
 ヨギの話を、まるで自分も一緒になって遊んでいたような気分になって聞いていたケントだが、気づけばすっかり静かになっている。
 横を見れば、楽しそうな表情のまま眠るヨギの顔。
 それを見るケントの方も、自然に頬が緩んでしまう。
 さきほど最愛の人から貰ったイヤーカフスを指先で優しく撫でつつ。
「これからはずっと一緒、だな……。愛してる」
 柔らかく呟き、ヨギの額にそっと口付けするのだった。
イラストレーター名:うさぎ