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2人でクロノス大祭

空を射る紅眼の蒼梟・ユウヤ
紅焔の邪眼・ミレイ

■クロノス大祭『幸せの時間』

 空が金色に輝き、雪が街を白く染めるクロノス大祭の夜。
 ラッドシティの中心に位置する巨大時計が奏でる美しい音楽が、遠いここまで聞こえてくる。
 そんな特別な日を、まだ幼い二人は互いに寄り添って過ごしていた。
「今日は綺麗な月や星は見れないが……こういうのも、いいものなのだ……」
 ミレイの赤い瞳が、空から舞い降りる白い雪を眺める。 
「うん♪ こういうのもすごく綺麗なの」
 ユウヤが嬉しそうに彼女を見ると、その手はいかにも寒そうな白い色をしていて。彼は、無邪気に笑ってミレイの手を取った。
「少しはあったかい?」
 繋いだ手から、ユウヤのぬくもりがミレイに伝わる。
「今年は……去年より、ずっと……幸せな気が……するのだ。どうしてだろうか……」
 空を見上げていた彼女の赤い瞳が、真っ直ぐにユウヤを見た。ユウヤの笑った顔が、ミレイの視線を優しく受け止める。
「ミレイちゃんがいるから、ぼくも今年は何時もよりずっと嬉しいの♪ 幸せって思うってことは、イッパイ嬉しいことがあるからだと思うの。ね?」
 そう言って、ユウヤはとびきりの笑顔を見せた。
「――あとね。ぼく幸せなの。ミレイちゃん大好きだよ」
 真っ直ぐな言葉と、眩しい彼の笑顔に、ミレイは思わず言葉を詰まらせる。
「え……? その……えっと……だな……」
 思わず頬を赤らめながら、彼女はユウヤのマフラーに指先を触れさせた。
「……マフラー……ずれてるのだぞ?」
 マフラーを直すふりをして、彼の頬にそっと口付ける。
 ユウヤの顔も、たちまち赤く染まった。
「……今日だけ……なのだからな?」
 唇を離したミレイが、ぷぃと視線を逸らし、照れ隠しにユウヤから距離を取る。
 振り返ると、追いかけてきたユウヤの顔がすぐ近くにあった。
「今日だけなの? ……いつもだったらいいのに♪」
 今度は、ユウヤからお返しのキス。
 再び頬を赤らめたミレイに、彼は照れた様子で、へへっと笑いかけた。

 雪は静かに降り積もり、幼い二人を優しく祝福する。
 どうかこの幸せな時間がこれからも続いていくようにと、二人は強く願っていた。
イラストレーター名:某君