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2人でクロノス大祭

イノセンティア・パメラ
翠嵐の星霊術士・アヤメ

■クロノス大祭『メリーハッピークロノス!…?』

「折角のクロノス大祭なんだからクロノスっぽいことをしよう!」
「でもクロノスっぽいことって実際には何を?」
 パメラのいつも通りに唐突な発案にアヤメは小首を傾げて問い返す。
「とにかくウサギっぽい格好すればいいんじゃない?」
「ウサギかぁ……」
 もふもふもこもこの可愛らしいウサギの姿を想像して思わず微笑み会う二人だった。

「あの、えっと……」
「これってやっぱり何か違うんじゃないかな……」
 それからウサギの衣装を用意して、着替えるまでにそれほど時間が掛からなかったのは所属旅団の人たちの協力があればこそというか……。
「いやいや、とってもよく似合ってるよ」
 それを勧めた赤毛の人他大勢は満面の笑みを浮かべて、そう答える。
 最初に手にしたとき、確かにそれにはウサ耳がついていた。ふわふわもこもこでやわらかくてそれでいてしなやかな弾力がある一品だ。これなら可愛いクロノス、ウサギの格好になれると信じて疑わなかったのだが……着替えてみれば、ウサ耳以外はクロノスの面影も見えない薄い布切れ。水着といい勝負じゃないのかな、と思うくらいの生地しかなかった。これでは着替えるのに時間が掛からないのも無理はない。
 ついでにと黒いウサ耳つけられたヒュプノスのレスターは何をされてもマイペースに眠たそうにしたままだが、これはこれで可愛らしくもある。同様にウサ耳装備のスピカのマーキュリーが楽しそうにしている姿やバルカンのオニールがふてぶてしく偉そうにしているのを見ると、恥ずかしがる方がおかしなことのようにも思える。
 お互いの姿をまじまじと見つめれば、髪飾りやヘアバンドに飾られたリボンがやっぱり可愛く、よく似合っていた。もじもじと照れている仕草がどことなく臆病なウサギを連想させるところを見ると、やっぱりこれはウサギの格好なのだと納得できなくもない。
「……かわいい」
「やっぱウサギの格好よね」
 半ば自分達に言い聞かせるように互いの姿を褒め称えあえば、これもなかなか良い物のように思えてくる。恥ずかしくはあるのだが、褒められるのは悪い気はしない。パメラの衣装は清楚さを引き立てるように白。アヤメの方はその快活さを現すような新緑。実際、周囲の人達もよく似合っていると褒めていた。
 互いに恥ずかしさを紛らわすためにお互いを褒めちぎるその姿は微笑ましくもあり、どこか初々しさもあった。
「見て見て、ふわもこなこのお耳。お揃いだねー」
 そう言って自らのクロノスに語りかけたアヤメを……。
「へっ」
 アヤメのクロノスは鼻で笑った。
イラストレーター名:ささかげ