■クロノス大祭『幸せな時』
金色の砂が降り注ぎ、純白の雪は舞う。そんな幻想的なラッドシティでは幸せな恋人達の姿が多く見る事ができた。巨大な時計塔を見上げているハルカとシュノも、そんな幸せな恋人達。
2人が見上げる巨大時計からは『幸せな恋人たち人形』や『愉快な楽隊人形』が現れ、美しい音楽を奏でている。
「シュノ……似合ってるよ」
シュノが普段穿かないスカートを穿いている事に気付いたハルカが、少し頬を染めて照れながらシュノの耳元で呟いた。
「あ、ありがとっす」
慣れないスカートを褒められた事と、大切なハルカに耳元で呟かれた事が合わさってシュノの頬は染まる。
――ふわり。
冷たい風が吹き抜け、シュノのスカートの裾が少し翻った。
「寒くないか? 寒かったらもう少しこっちに来るか?」
ハルカが心配そうに尋ねる。スカートは可愛いが、足元が寒くないだろうか。それでなくとも雪が降っているし。
「ちょ、ちょっと……寒いっす」
シュノは苦笑しながらハルカに少し寄り添った。そして、何やら取り出す。
「はい。プレゼントっす。ハルカさんの首元寒そうっすから」
にこっと笑ったシュノが差し出したのは暖かそうなマフラー。シュノが今しているマフラーと御揃いでシュノの手編みだ。
「ありがとな」
嬉しそうに微笑んだハルカは受け取って、早速そのマフラーを首に巻く。
「あったかいな」
そのままシュノの肩に手を回し抱き寄せた。
「え? あ、あの……」
シュノは突然の事に慌てて、顔を紅くして照れながらも大人しく体を預ける。
その時、流れる美しい音楽の曲が変わった。曲と共にイルミネーションの光も色や輝くリズムを変える。
「ずっとこんな風に幸せでいたいっす。……は、恥ずかしいけど」
「俺も、ずっとこんな風でいたいよ」
寄り添ってイルミネーションを眺めるシュノが恥ずかしそうに、ぼそっと呟いた。すると、ハルカはシュノの肩に回す腕の力をほんの少し強める。そして、幸せそうに微笑んだ。