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2人でクロノス大祭

ノソリンに乗った刑事・ミーア
終焉の導き手・ソラ

■クロノス大祭『ミーアのデート / ソラの子守り part2』

 季節がら仕方のないことなのだが、日差しのある昼間であっても空気は冷たく澄んでいる。
 吐く息は白く染まり、今の寒さをより一層際立たせた。
 クロノス大祭で賑やかな街中……華やかで浮かれた空気の中当然人々も浮かれ、ごった返していた。
 ざわざわとした街で、ソラはミーアの手をはぐれないようにと握っている。
 180センチを超えるソラに手を引かれるミーアは120センチと少し。60センチ近い身長差だ。
 身長差があれば、当然と言うべきか足の長さにも差が出る。
 そんな中ソラは、知り合い(特にティエン辺り)に出会わないように周囲を警戒しながら、ミーアの歩調に合わせて歩いていた。
 警戒するのは『確実にからかわれる』からだ。精神的ダメージをあえて自ら受けたいとは思っていない。
(「少し冷えてきたな……」)
 楽しそうにしているミーアではあったが、ソラは一旦休息を兼ねて暖の取れる喫茶店などを探していた。
 背が高い分、人込みの中でも遠くまで多少は見渡せる。
 隣のミーアは何やら鼻歌交じりだ。
 楽しそうなミーアを見て、ソラはふと思った。
 ――楽しいのだろうか。
 口数が少ない自分。……正直、会話が多いとは言い難い。
 見る限り、ミーアは楽しそうではあるが……。
(「……ミーアは楽しいのか?」)
 そんなことを思い、思わず隣の小さな少女……身長差のため、頭のてっぺんを見下ろした。

 ミーアはそんなソラの視線に気付いた。
 自分を見下ろす金の瞳に緑の瞳をぱちくりとさせつつ、目が合ったのでニッコリ笑う。
 相手の機嫌を取るため……とかではなく、自然に笑えた。
 だって、相手は大好きなソラだから。
 何やら周囲に気を配り――時折鋭い眼光を宿らせたりしつつ歩くソラを「カッコイイ!」と単純に思う。
 元々好きなのだが、さらに惚れ直していた。
「――楽しいか?」
 ポツリと、落ちるような声。その問いかけに、ミーアは「え?」と首を傾げた。
 自分の中で、ソラの問いを繰り返す。
 けれど……答えに、迷いなどない。あるはずがない。
「楽しいよっ!」
 ミーアはソラの手を離さないように、ギュッと握った。
 単純明確なミーアの答えにソラはゆるりと瞬く。
「――そうか」
 静かに答えながら、ソラの口元が微かに弧を描いた。
イラストレーター名:見月千草