ステータス画面

2人でクロノス大祭

嘆きの悪魔・エヴァンジェリ
天鳴空啼狐・ソウジ

■クロノス大祭『君と危険な深☆夜のポッキーゲーム』

 たくさんあるよ、何がいい?
 クッキー、キャンディ、ビスケット。

「さぁソウジたん、私のうちに来るんだ。女子会だっ」
「僕男なんだけど」
「気にしない」
「……女子会ってさ、お話しながらお菓子が食べられるイベントだよねぇ? それはいいかも……」

 そんな短いやりとりでお泊まりが成立するのは、大好きな友達だからこそ。
 エヴァンジェリの部屋には、二人の大好きな甘い香りが満ちていた。お皿に、包み紙に、たくさんのお菓子。
 エヴァンジェリはぽいぽいと口の中にお菓子を放る。その足元には食べた跡が散乱しているけれど、そんなのは気にしない。
「エヴァなぁんの自室は、素敵過ぎるほど綺麗だねぇ? あ……それ欲しいかもっ!」
 冗談のようにソウジが言う。ソウジはキャンディのような赤い目を瞬かせると、お菓子に手を伸ばした。スティック型のビスケットをチョコレートでコーティングした、定番のあれ。
「む、それおいしそうだ!」
 もぐもぐ、口の中いっぱいのお菓子を咀嚼しながら、エヴァンジェリがソウジの咥えるチョコ菓子を見て目を輝かせる。
 いる? と、ソウジがお菓子の乗っている皿を差し出す前に、エヴァンジェリは身を乗り出した。

 ぱくっ。

 エヴァンジェリは、チョコ菓子にかじり付く。今まさに、ソウジが咥えているそいつに。
 ……こういうゲーム、あったよね。たしか。
 図らずも、ソウジの目の前に、きらきら光るエヴァンジェリの茶色い目。いつもだって仲は良いけれど、ここまで顔同士が近いことは、なかなか無くて。
 だからきっと、ほんの気まぐれ、思いつき。
 さくさくさく、お互い棒状のお菓子を囓っていって、最後のもう一押し、と、ソウジは顔を進める。柔らかく、唇だけで……噛み付いた。
 唇に触れた柔らかい感触に、エヴァンジェリの目が見開かれた。綺麗だなぁアメ玉みたい、こっそりとソウジは思う。
「……あ、ぅぇ、おぉぅ?」
 いつも通りの距離に戻れば、エヴァンジェリの前にはにっこりわらうソウジが居る。さっき触れ合っていたのが夢みたいで、エヴァンジェリの頭は真っ白になった。反対に頬は、桃色に染まる。
「秘密にしておいてくれるよね……ね? ふふ、にーちゃんには内緒だよ?」
 悪戯っぽくソウジが笑えば、エヴァンジェリの頬はみるみる林檎色に。ソウジの笑みが、また深くなる。

 たくさんあるよ、何がいい?
 クッキー、キャンディ、ビスケット。
 だけども一番甘いのは、悪戯で可愛くデコレーションした、君の唇かも知んないね。
イラストレーター名:桜香