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2人でクロノス大祭

鋼鉄の孤狼・リュウキ
リュウキくん好き好き大好き・アオイ

■クロノス大祭『初めてのドキドキデート』

 多くの人で混雑するクロノス大祭の中に、人目を引く一組のカップルがいた。それぞれの身長もさることながら、美男美女という理想的な組み合わせに、ある者は羨望のまなざしを送り、ある者は見とれるパートナーの手を強引に引いていったりと、通りすがりに多くの反応を引き起こしていく。
 注目の渦中にあるカップル、リュウキとアオイは、腕を組んで堂々と通りを歩いていた。リュウキは半歩先からアオイのエスコートをし、側から離れない彼女を気づかいながら、すこし冷え始めてきた白雪と金砂の風に手をかざす。
「アオイ、寒くないか?」
「いいえ。リュウキ君と一緒なら、例え氷の檻の中だって暖炉のある部屋と一緒ですよ」
 なんて、恥ずかしいセリフもすらすら言える程には、アオイはリュウキにベタ惚れであった。抱く腕へ更に思いを込め、心を満たす暖かさの素へ自分を押し付ける。
 リュウキはリュウキで、そんなアオイの仕草で容易に心が乱される。それは惚れた女そのものであって、その上自分を好いていて、なんて考える度に体温が上がるのがわかるのだ。
「どうしたの、リュウキ君。くっついてると落ち着かない?」
 と、努めて冷静を装っていたリュウキに、アオイが問いかける。アオイの見上げてくるような視線に、リュウキは鼓動が跳ね上がるのを感じた。
「い、いや……、そんなことはない」
「それじゃ、もうしばらくはこうしてるわね。うふふ♪」
 嬉しそうに笑うアオイを見ていると、リュウキもなんだか、世界の色が塗り替えられていくような、そんな幸せな気分がふつふつとわきあがってくる。
「……好きな女と一緒に居るってのは、こんな風になるもんなのか」
 なんて、つい口に出してしまったのが運の尽き。悪戯心満載のアオイの微笑が、リュウキの表情を窺い始めた。
「あらあら? 何か仰りまして?」
「なんでもない」
「ね、もう一度言ってみて下さいな。好きな女、の所から」
「それだと全部じゃないか……、ったく」
 仕方なく、いや、口にするのにあんまり抵抗はないなと、リュウキがもう一度その言葉を言おうとしたところに、ふと祭の空気が濃厚になる気配がした。いつの間にか二人は大通りまで歩いてきていたらしく、軽食や雑貨の屋台が増えてきている。
「さて。リュウキ君、寄って行きませんか? お姉さんが色々おごりますわよ」
 腕を組んだまま、今度はアオイが前に出る。発言の機先を制されて、リュウキはされるがままにたたらを踏む。
「それは流石に……。というか、いいのか? 言わなくて」
 こちらを想ってのリュウキの言葉に、アオイは必殺の笑顔で応えた。
「ええ。それは、買い物も終えてディナーも済んで、夜景をバックに二人っきりで、なんて、そういうもっとムードの良い時にお願いしますわ」
 ということで、本日の指針も決まり、二人はそれぞれにお互いへの思いを膨らませながら、手始めにアクセサリーの屋台を冷やかしに行くのであった。
イラストレーター名:酒路モノ