ステータス画面

2人でクロノス大祭

脳内は天気・サクノス
安全第一・ナツ

■クロノス大祭『いつも通りの』

 年に一度の特別な日だからといって、皆が特別な事をする訳じゃない。
 サクノスとナツはこの日、家の前に積もった雪をどかそうと雪かきをしていた
 ――正確には、雪かきをしてるのはサクノスだけで、ナツはその横で本格的な雪の城を作っているのだが。
「腰だ。腰をいれろー」
「や、やってるよ!!」
 完全に雪かきをサボって好き勝手遊びつつ、ナツは口だけで応援……いや、野次を飛ばしている。
「あぁ、まったく……」
 キリの無い作業に疲れてきたサクノスが、一息入れようとナツの方を振り返る。
「ちょ……すごっ!? なにそれっ!? ってか全然雪かきしてないし何やってんのー!?」
 ようやくナツが雪かきせずに遊んでいた事に気付いたサクノスが、色々な驚きのこもった声を上げる。
「姉御、喋るより手を動かそうぜ」
(「それをなっちゃんが言うか!?」)
「はぁ……。なっちゃんが真面目に雪かきしてくれてるとか……思った僕がバカでした……」
 少しも悪びれることなく涼しい顔のナツに、サクノスは乾いた笑いしか出ない。
 休憩どころか余計に疲れが溜まってしまった感があるが、ともかく作業を再開しようと振り返りかけるサクノスにナツが声をかける。
「あ、そこで滑るのが笑いの基本だよね」
「そんなベタな!? そう簡単に滑るわけ――うおっ!?」
 滑るわけない。そう言い切ろうとした矢先、サクノスの足は固まった雪の上を見事に滑る。
 そのまま立て直しも出来ず、雪に人型の穴が出来るほどに勢いよく倒れ込む。
「ぷっ、は、はははははっ! 姉御、最高だよ! ぷっぷぷぷ……!!」
 一連の、お見事としか言いようのない流れを見ていたナツは、やっぱりなと言いたげに大爆笑。
「…………」
 長々と続く笑い声の中、サクノスは雪の中からのそりと這い出て。
「なっちゃん……ちゃんと……雪かきしなさぁーい!!」
 と、半分八つ当たりで声を張り上げる。
 ――こんな風に、二人の日常は今日もまたいつもと同じように続く。
 特別ではないが、大事な『変わらない毎日』。
(「なっちゃんに言ったら笑うから、絶対に言わないけどね……!」)
「どうした姉御、尻でも冷えた?」
「な、ななな! 変なこと言ってないで、いいから雪かきするっ!」
 こうやって、また『いつもと同じ』は繰り返されていくのだった。
イラストレーター名:にゃんこ妖精☆