■クロノス大祭『聖なる夜の一幕』
金と白に輝くクロノス大祭の夜、エクサとヴィーネはコテージで2人きりの時間を過ごしていた。コテージ内は暖炉の灯に柔らかに照らされ、とてもムーディーだ。
「今日はゆっくり2人で楽しみましょう」
そう言って、ケーキを運んでくるヴィーネ。
クロノス祭に合わせて彼女が手作りしたそれは、チョコレートのプレートやピンクのハートの砂糖菓子で飾られている。お菓子作りが趣味のヴィーネだけあって、とても可愛らしいケーキだった。
「美味しそうでござるな」
「本当?」
にっこりと笑うと、ヴィーネはケーキをフォークですくってエクサに差し出した。
「それじゃ……はい、どうぞ」
「いただきます」
エクサはそれをぱくりと食べる。
「うん、とても美味しいでござる」
「良かった」
ヴィーネも嬉しそうに、一緒にケーキを食べる。
「ケーキも綺麗でござるが、ヴィーネちゃんのドレスも素敵でござるな。とても似合っているでござるよ」
「ありがとう……」
藍のウェーブヘアの映えるピンクの衣装は、彼女の魅力を引き立てていた。
やがてケーキを食べ終わると、2人は景色を眺めながら思い出話をして笑い合ったり、プレゼントを交換したりして楽しんだ。
窓からは、ラッドシティの街並みが見える。夜空を舞う金色の砂と真っ白な雪、巨大時計から流れる音楽に、街のキラキラした明かり。どんなイルミネーションも敵わない、神秘的でロマンティックな光景だ。
その美しさにヴィーネが見惚れていると、エクサが背中から彼女をぎゅっと抱きしめた。
一瞬、ヴィーネは驚いた顔をするが、すぐにふわりと笑う。
「あたたかい……」
「ヴィーネちゃんも、あたたかいでござる……」
窓の外に広がる、幻想的な景色。大切な人と寄り添って、大好きな相手を感じられる、甘くて優しい夜。
「ヴィーネちゃん、これからもよろしくでござるよ」
エクサが愛おしそうに囁いた。
その声に応えるように、ヴィーネは彼の大きな手を握り返す。
(「2人ですごす、幸せな時間。これからもずっと……」)
エクサの腕の中で目を閉じて、ヴィーネは願う。
あなたと一緒にいたい。あなたと、色んな気持ちを共有し、交し合いたいから。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
照れたように頬を桜色に染め、ヴィーネはエクサに微笑み返した。