■クロノス大祭『雪の中のお散歩』
クロノス大祭。ラッドシティの各所で純白の雪と金色の砂で彩られ、お祭り騒ぎとなる一日。アルフォンスとリリィの親子は、夜空を雪と金色の砂が彩る庭園を散歩中だった。
「おぉ〜雪だぞリリィ!」
「うん、とってもきれ〜っ! おほしさまみたい〜!」
「きれいだなぁ〜。砂も一緒に降ってっから、どっちもすげーきらきらしててさっ!」
雪と金色の砂が入り混じり、煌めきながら降る夜空、そんな幻想的な光景を見て、二人のテンションは最高潮だった。
「ほら、抱っこだ。もっと高いとこで雪、見せてやるよ」
リリィからもらったランタンを足もとに置き、両手を広げてリリィを呼ぶアルフォンス。シャッターの開かれたランタンで照らされた地面は雪が積もり、反射したやわらかい光が空から降ってくる雪と金色の砂を一層煌めかせていた。
「わーい、だっこだー」
アルフォンスからプレゼントされた白いもこもこした暖かいマントを羽織ってくるくると踊っていたリリィは、アルフォンスに呼ばれて勢いよく飛びつく。
抱き上げたリリィの成長の重みを感じながら、成長を喜ぶ反面、いつまでこうして抱っこをさせてくれるか不安になるアルフォンス。
「……ずーっと一緒にいられたらいいのになぁ……」
リリィを抱きしめる腕に力を込めて、頭を撫でてやるアルフォンス。若干の寂しさから涙目になっているのを愛する娘に見せまいと、雪を見るフリで空を見上げ必死に隠す。
「……わたしはずーっと、パパといっしょにいるよ」
リリィも、成長すれば抱っこしてもらえない事を寂しく思っていた。小さな呟きは、果たしてアルフォンスに聞こえただろうか。
早く成長したいという思いとは裏腹に、大好きなパパであるアルフォンスとこうした親子の触れ合いを続けたいとも思うリリィ。今この時を大切に、大好きなパパと共に過ごそうと心に決めたようだ。
クロノス大祭の夜。ランタンの灯を夜空に映える雪と金色の砂が反射して生み出された幻想的な光の中で、二人は親子の絆を改めて確かめるのだった。