■クロノス大祭『聖夜に溶ける、金銀の髪』
クロノスメイズでたっぷりと遊んだ二人。シズとアルカが帰宅した頃には、既に日も落ち、暗い夜になっていた。
あの賑やかな雑踏が、夢のように感じるほどに、部屋は静まり返っている。
そう、まるで、これからアルカとシズがしようとしていることを、隠してしまうかのように。
「アルカ、これ受け取ってくれるやろか?」
シズがそういって、取り出したのは、この日のために用意したプレゼント。
「シズも、用意してくれましたの? 実は、わたくしも」
アルカも、そっと用意していたプレゼントを取り出す。
気の合う二人だ。思わず顔を見合わせ、微笑む。
「じゃあ、一緒に」
「プレゼント交換や」
シズが選んだプレゼントは、鍵の形をしたペンダントだった。
アルカが選んだプレゼントは、自分とお揃いの眼鏡。
「ふふ、不思議な気分ですわ」
「そうやな」
互いのプレゼントをさっそく身に付ける。なんだか、暖かくてくすぐったい気持ちでいっぱいになる。
そっと、シズがアルカの手を握った。
「ありがとう、アルカ」
「こちらこそ、ステキなプレゼントをありがとう、シズ」
二人は互いにキスを重ねる。その頬に、その唇に、そして、首筋にも。
気が付けば、二人はベッドの上にいた。
ちょっとだけ、意地悪されて、怒ったりしたけれど。
でもそれは、二人にとっていつものこと。スキンシップの一つだ。
今はそんなこと、無かったかのように肌を寄せ合い、窓から見える夜景を楽しんでいる。
アルカがそっと、視線を落とした。
それに気づいたのか、アルカの手が、その場所に触れる前に。
「うちらの大切な絆の証や」
シズが先に手を当てた。
「ええ、わたくしとシズの大切な宝物ですわ」
シズの手の上に、アルカの手が重なる。
「愛していますわ、シズ……」
「うちも、や……」
もう一度、二人は唇を重ねた。
窓の外は、いつの間にか雪がちらつくほど、寒くなっていた。
けれど、部屋の中は暖かい。
肌を重ねるその場所が、熱を帯びていくように。
二人だけの時間は、まだ、終わらない。
日の光が、彼女らを照らすまで、ずっと……。