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2人でクロノス大祭

うるわし歌と舞・サキ
タキシードは黄昏に舞う・プライド

■クロノス大祭『雪中の愛』

 雪で彩られたクロノス大祭。あちこちで賑やかな音や楽しく騒ぐ声が響いていたが、ここまでは届かないようだ。しっとりとした静けさが漂う部屋の中には、グラスを合わせる音だけが響き渡る。
 グラスの中身を少しだけ飲んだ後、サキとプライドは言葉を交わす事無く窓を見つめ雪景色を眺めていた。
 互いにグラスを手にし、同じ景色を堪能する。それだけでも十分幸せな一時なのかもしれない。
「プライドさんと一緒に居れて幸せよ?」
 それを証明するかのように、サキは思わずその幸せを口にしてしまう。その口調はいつもよりどこか艶っぽい気がした。
「そう言っていただけると、私も幸せです」
 この静かながらも穏やかに流れる幸せの空気を楽しんでいるのだろうか。プライドは柔らかく微笑みながら彼女の言葉に答える。
「本当は、何時までも傍に……」
 続きを言おうとしたが、言葉が詰まってしまいタイミングを見失ってしまったようだ。そのままサキは黙ってしまう。
「それは、私に言う言葉では無いと思いますよ?」
 穏やかな空気が少し詰まったような気がして、プライドは悪戯っぽい笑みを浮かべながらサキを見つめて言った。
 ……だが、今度は詰まった空気が少し軋んだような?
「……そうね。楽しく飲みましょ♪」
 満面の笑みで言い直した彼女を見れば気のせいだと思えるかもしれない。
 しかし実際は心の中で彼の言葉に対しムッとしていたのだ。その言葉を言うべき相手は、目の前にいるたった一人しかいないと言うのに……。
「ええ、そうしましょう。時間は有意義に使わねばなりません」
 空気を元に戻して仕切りなおそうと、微笑み返し改めて乾杯するプライド。
 彼の言葉どおり、この後もきっと有意義な時間を過ごせたに違いないだろう。

 ――だが、彼女達が本当に有意義と思える時間を過ごせるようになるのはもう少し先の話なのかもしれない。
 願わくば、この時がその時間へと少しでも近づく一欠片となりますように……。
イラストレーター名:火風