■クロノス大祭『重ねあう想い…そして温もり』
クロノス大祭の出店などを一通り巡った後、ナルシュナイヴとツルギは人込みを避け、静かな場所へ行こうと公園へ向かった。街中を抜けて公園に入ると、寒さはやや強く感じられた。ふたりの他に人影のない公園で、よりお互いの温もりを求めて寄り添うようにくっつくと、伝わる互いの鼓動に少し頬を赤らめるふたり。
暫しゆっくりと公園を散歩してから、手近なところにあったベンチに腰掛ける間も、二人きりの時間が流れる。
この手のイベントが、恋人同士になって初めてだから。なんだかとても嬉しくて、でもちょっとだけ恥ずかしい、とナルシュナイヴは思う。
「本当に金の砂が降るのね……」
舞い降りてくる金の砂に手を差し伸べるツルギ。故郷でも雪は降っていたけれど、それとも違う今日だけの金の砂と純白の雪が降るこの特別な夜に、ツルギは感慨深げにそう呟いた。
「……こういうのも綺麗ね」
「……うん、不思議……でも、とても、素敵……」
そんなツルギに向かって、ナルシュナイヴは嬉しそうに笑みを浮かべた。寒くないか、こんな静かなところでつまらなくないか、と問うツルギに、ナルシュナイヴは首を横に振って答える。
「……ん……ツルギが、一緒……それだけで、楽しい……」
「去年の今頃はこんな事になるとは夢にも思わなかったわよ」
ツルギは照れ屋な性分故、嬉しそうに笑んだナルシュナイヴの顔をまともに見れず、そっぽを向いてそんな事も呟いてみたりする。
降りしきる雪と金砂を見上げ、他愛もないことを話す、この時間がなによりもふたりにとっては暖かいものだった。
「ナル……今日は付き合ってくれてありがとうね。本当に嬉しかった」
「こっちこそ、だよ……大好き、ツルギ……♪」
ようやく照れくさそうにナルシュナイヴと視線を合わせたツルギ、そして微笑みを以てそれに応えるナル。
そっと、控えめな……けれど確かな口付けを交わす。
これからも、あなたの隣に居られますようにと、密やかな想いを込めて。