■クロノス大祭『祭りの夜は二人きり』
目の前にあるバスタブを見て、刺し穿つ黒白の槍・リーゼリット(c02065)と穿ち貫く白銀の弓・ナベリウス(c02405)は、思わず、顔を見合わせた。「リウ、二人で入るには、ちょっと……小さいね、コレ」
「そのようだね、リズ」
これでも大きい方のバスタブなんだが、それでも二人が入るにはいささか小さい。
せっかく、二人で一緒にバスタイムを楽しもうと思っていた矢先のこと。
このままでは、それも難しいかもしれない。
「なら、こうしてみる?」
たぶんと湯が揺れる。
思案してナベリウスが取った行動は……先に入ることだった。
「え? でもそれじゃあ……」
「ほらおいで、リズ」
腕を広げ、迎えるのはナベリウス。そう、ナベリウスが考えたことは、自分が先に入り、リーゼリットを入れることだった。雰囲気的にはナベリウスがリーゼリットを抱きかかえるような形になる。
「で、でも……」
それを想像してリーゼリットは、思わず恥ずかしくなってしまう。それを打破したのは、やはりナベリウス。
「遅いよ」
ぐいっとリーゼリットの腕を引っ張って。
「きゃっ!!」
抱きかかえられるように、たぷんと、バスタブの中へ。
「ほら、これで一緒に入れるよ」
「そ、そうだね……」
恥ずかしくないんだろうかと、リーゼリットは思わず、ナベリウスの顔を見た。
ナベリウスは顔色変わらず、いつもの笑みを見せている。
「お、重くない?」
出た言葉は別の言葉。
「水の中だから大丈夫よ。ありがとう、リズ」
逆に感謝されてしまって、こっちが照れてしまう。
確か……最初に言い出したのはリーゼリットの方だった。
なのに今は、いつの間にかナベリウスのペースになっている。
「でも、やっぱり抱えられるのは……」
立ち上がろうとして、よろけてしまい。
「大丈夫? 怪我はないかしら?」
結局、リーゼリットは元の場所へ。
「う、うん……大丈夫……」
お風呂はむしろ温くしているはずなのに、なぜ、こんなにも熱く感じるんだろう?
(「リウと一緒に入っているせい?」)
と思った瞬間。
「きゃうっ!!」
「あら、どうしたの?」
「むむむ、胸、胸ーっ!!」
「洗ってあげてるのよ? 動かない動かない」
「そ、そうじゃなくってっ!! もう、リウっ!!」
二人だけのバスタイムは、まだ、始まったばかり。