■リヴァイアサン大祭2012『聖なる夜に』
純白の雪が降り続く、人気のない教会に2つの影があった。純白のタキシードを纏ったモカと、純白のウェディングドレスを纏うダミアは見つめ合う。これからの幸せを誓うように。
「……」
モカは、すっと視線を落として、ダミアの白い左手をそっと取り、銀色に輝く誓いの指輪を静かに薬指に通した。
指輪を嵌められて、少し緊張した表情のダミアは、モカの大きな左手を取る。
「……」
手を取ったまま、一度顔を上げて真っ直ぐモカを見つめた。
「……ダミアちゃん」
モカは、ダミアの視線を優しく受け止め、静かに微笑む。その笑顔が、ダミアの緊張を緩め、表情を和らげた。
ダミアは視線をモカの左手に落とし、その褐色の薬指に銀の輝きを通す。顔を上げると、モカの優しい眼差しがダミアを見つめていた。
「……愛してる」
モカは微笑みながらダミアの顔を覆うヴェールを静かに上げ、直接ダミアの赤い瞳を見つめる。
「……私も、ですよ」
ダミアは静かに、そっと瞳を閉じた。
ゆっくりとモカが顔を近付け――誓いの口付けを交わす。
静かに瞳を開けたダミアの瞳は、うっすら幸せそうに潤んでいた。
「絶対幸せにするからね」
優しく微笑んだモカは、腰を落として、純白のウェディングドレスを纏うダミアを抱きかかえる。
「はい……ですよー♪」
ダミアは、にこっと嬉しそうに笑って、モカの首に手を回した。
「こんなに可愛いお嫁さん貰って……俺ってば本当幸せ者!」
嬉しそうに笑うモカは、ダミアの頬にそっと口付ける。
「私も幸せですよー♪ 」
にこっと笑ったダミアは、モカの首に回した手に少し力を入れて、ぎゅっとしがみついた。
ダミアをしっかり抱きかかえたモカは、ゆっくりと真紅のバージンロードを歩いていく。
教会の外に出ると、純白の雪が静かに舞っていた。これから先の苦難さえも、祝福の色で飾るように。
見上げると、星霊リヴァイアサンが悠々と夜空を泳いでいた。――2人を祝福するように。