■リヴァイアサン大祭2012『glittering snow fairies』
大祭のその日だけ、雪が舞い、光灯るその森の中。白金の煌めきに包まれて踊るは、若き騎士とその大切なパートナー。
そこは二人だけの、幻想的で、特別なステージ。騎士――レンが見つけたとっておきの場所。
そんな小さくも、頼もしい騎士の誘いを受けて、彼女に導かれるまま、アルマはやって来たのだ。
始まったダンス、そのリードは、勿論レンが。アルマの手を取り、軽やかに。
レンのリードはまだお世辞にも上手いとは言えないけれど、それでも、大切なアルマにいいところを見せたくて。
頑張ってリードを続けるレンを、アルマは微笑ましげに見守りつつも、その動きに併せて、穏やかに踏むステップ。
けれど、不意にレンの動きが止まりかける。それでも、アルマのさりげない導きで、次の一歩を踏み出して。
「いつも甘えてばかりでごめんね、アルマ」
ぽつり、レンの口からか細く漏れた弱音。まだ、アルマに相応しくあれるかどうか、不安もあるのだ。
自分はアルマよりもずっと年下だし、ダンスだってまだ上手く踊れない。アルマが大切だからこそ、弱気にもなる。
だけど、それでも傍にいたいから。判っている。そう、穏やかな微笑みだけでアルマは伝える。
そうだ、そんなアルマの傍にレンはいたいのだ。大切な、共に歩んで守っていくと決めたただ一人の――アルマの傍に。
その気持ちは、本気だから。揺らぐ事のない、本気だから。
「でも、もう少しだけ待っててね。必ずアルマが安心して全てを任せてもらえるような騎士に、アルマだけの騎士になるから!」
誓いの言葉。それは決意。これからもずっと傍にいられるように。願いを込めて。
そのレンの宣誓に、アルマは悪戯っぽく笑って。
「それじゃ、まずはダンスをしっかり覚えなきゃ、ね」
アルマの言葉に苦笑するレン。けれど、すぐにきりりと真剣な面差しで「頑張る」と答えて、また一歩リードを踏み出す。
きっと、彼女は、誓い通りの騎士に成長してくれる事だろう。アルマの為だけの騎士として、立派に成長する事だろう。
アルマは、そんな彼女の成長を、これからも、温かく見守っていきたいから。傍にいたい気持ちは、同じだから。
「ふふ、期待しているわよ。頼もしい私の騎士様」
笑顔を向けて、レンに応える。瞬間、レンの表情が、ぱあっと明るくなった。
きゅっと、ふたり指を絡めて誓いの代わり。繋がる手、通じ合う気持ちに、柔らかく微笑み交わす。
ふわり、舞い散る雪と光の中で、くるくると回る。止まらない時だけど、だからこそ楽しんで。
リヴァイアサンの祝福を受けて、ダンスはまだ終わらない。