■リヴァイアサン大祭2012『コタツは暑いのでつい脱いでしまう 不思議!』
「いらっしゃーい」部屋に遊びに来たパルを、ソフィアはコタツの中で出迎えた。少し振り返って、外から入ってきたせいか寒そうな様子のパルを見ると、コタツに入ったらどうかと勧める。
「いいの? それじゃおじゃましま〜す♪」
ぱぁっと嬉しそうな顔をして、ぱたぱたソフィアの後ろに回り込んでコタツに入る。
ぎゅーっと。
後ろから抱きしめながら、コタツの中。最初はひんやりしていたものの、ふたり一緒にくっつきながら過ごすうち、すぐに温かくなっていく。
「ソフィア〜」
すりすりっとパルはソフィアにじゃれつく。ぎゅーっとしたまま更に身を寄せたり、あちこち撫で回してみたり、かぷっと耳を甘噛みしてみたり。
「私の耳はパンの耳じゃないんだから〜。……もう」
さすがに耳を噛まれるとソフィアも黙ってはいなかったが、そうかるーく抗議の声を上げるだけで、パルを振りほどいたりまではしなかった。なので、パルは「ごめんごめん」と口を離すと、そのままソフィアに引っ付いたまま。
そのままくっついて、一方的にパルがじゃれついたりしていたのだが……。
「あつくない?」
「あつい」
くっついてるせいなのかコタツのせいなのか、ふたりの体はぽっかぽか。温かいを通り越して、すっかり暑くなってしまう。顔だってお互いに真っ赤だ。
「こうなると逆に困るわねー……」
でもコタツから出るという選択肢はないらしく。ソフィアは少し考えて、何やらごそごそすると、ぽいぽいっと次々何かを放り出す。
――服だ。
「うん、これでスッキリ♪」
「あー、それじゃボクも脱いじゃおうかな?」
「そうしたらいーんじゃない〜?」
あついー、あついと繰り返しながらコタツの周囲に服をばら撒き、ふたりは再びまた元の位置に収まる。
「あ、ありがと」
そこへソフィアの妖精ジェバンニがグラスを持ってくる。ぐびぐびっと渇いた喉を潤して、落ち着きを取り戻した二人はようやく一息つく。
「これでしばらくは繋がったままでいられそうね」
うんうん、と嬉しそうな顔でコタツの上に両腕を伸ばす。心置きなくコタツでごろごろしていたれるのがよほど嬉しいらしい。カゴに盛ったみかんに手を伸ばせば、そんなソフィアにパルがまたじゃれついている。
「……」
そんなふたりを、そこか恥ずかしそうにちらちら見たあとジェバンニは、まるで気遣うかのように隣の部屋へ飛んでいき――。
ふたりきり、もうしばらくコタツの中でじゃれながら抱き合う、ソフィアとパルだった。