■リヴァイアサン大祭2012『微睡の中で』
改めて愛を確かめ合い、仲良く眠りにつく。暖かなぬくもりに包まれて、二人で居られる幸せな時間を噛み締めて。戦いばかりの毎日だから、こういう時間がとても大切で愛おしい。
――リヴァイアサン大祭翌日。
「フィル……」
心地良い夢に身を任せるエリオンは、頭に柔らかな感触を感じて、幸せそうに愛しい名を呟く。
「……」
幸せそうに微睡むエリオンを優しい眼差しで見つめるフィルディア。綺麗な白い髪を優しくゆっくり撫で続けた。
(「幸せそうな顔して……」)
どんな夢を見ているのだろう、とフィルディアは優しい眼差しで見つめる。
2年前のリヴァイアサン大祭では、エリオンの為にケーキを作って、膝の上に乗せて食べさせた。また来年も2人で過ごせたらいいと願いながら。
年が変わって、暖かくなってから桜に絆を誓った。2人を祝福するように舞い散る桜吹雪と、桜色のドレスを纏ったエリオンが今でも鮮明に思い出せる。
去年のこの日は一緒にケーキを作った。
白い猫と桜色の狐に作られた砂糖菓子。なんとなくエリオンとフィルディアを連想させるそれが少し離れて並んでいたのが気に入らず、狐を猫の傍に配置し直すフィルディア。仲良く寄り添う猫と狐を見たエリオンが顔を赤くした。――自分達のようだと。
(「可愛かったな……」)
その時のエリオンを思い出して頬が緩む。
照れくささに素直になりきれなず、顔を赤くして騒ぐ愛しい存在。
「ん……」
エリオンは瞼は閉じたまま小さく声を漏らすと、ぎゅっとフィルディアの胸元を掴んだ。
フィルディアは、そんな無意識のエリオンに愛おしさを募らせる。エリオンの髪を撫でていた手を静かに肩に移動させて、優しく抱き寄せた。
「……愛してる」
フィルディアはそっと呟く。幸せな夢の世界で微睡む眠り姫に。
夢か現か分からない境目の世界で、愛しいフィルディアの声が聞こえた気がしたエリオン。
(「目が覚めたら、きっと言おう」)
――「僕も愛している」と。