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2人でリヴァイアサン大祭

幽星の黒獅・イスラティル
眠る光の歌声・リィンティア

■リヴァイアサン大祭2012『君希う、夜の帳。』

 部屋のいたる所に色彩を放つ色とりどりの花達。窓の外に降り続く雪とも相性の良い、強さを持った冬の花々。
 窓辺には、花達の表情を柔らかくしている温かな光を注ぐ小さなランプ。
 そのランプが照らすのは冬の花々だけではなく、窓際に置かれたベッドの上で、どこかぎこちなく寄り添う2人も柔らかく照らしている――。
「雪……綺麗ですね……」
 どこかそわそわしたような、落ち着きのない様子でリィンティアは窓の外を眺めた。
 夜空を純白の雪が静かに舞い、半実体化した星霊リヴァイアサンが優雅に泳ぐ。今日はリヴァイアサン大祭で――これから2人が生活する家での初めての夜。
「あぁ……」
 普段冷静なイスラティルの返事もどこか上の空。夜空を眺めるリィンティアの横顔を見つめ、ぎゅっと右手を握り締めた。
「リィン……」
 イスラティルは愛しい名を呼び、左手でリィンティアの左手をそっと取る。
「……」
 仄かにリィンティアの頬に赤みが差した。触れ合うのが初めてというわけではない。これから一緒に暮らしていくことを考えると、なんだか気恥ずかしくて意識してしまうのだ。
「受け取って欲しい」
 イスラティルが、右手に握り締めていた指輪を、そっとリィンティアの薬指に嵌める。 びくっと微かに、一瞬だけ、リィンティアの左手全体が震えた。
 視線を上げてリィンティアを真っ直ぐ見つめるイスラティル。
「……イスラさん……」
 頬を染めて瞳を潤ませたリィンティアが、嬉しそうに微笑んだ。
「――遠い、遠い約束をしよう」
 その笑顔に、イスラティルが優しい笑顔を浮かべて口を開く。
「何時か家庭を持ち、子供達と笑い合いたい、そんな約束を。夢物語の様と笑われてしまうかも知れないけれど」
(「立ち塞がる全てを砕き、殺める事でしか護れないと思っていた俺を、叱り、諭し、許してくれた」)
 リィンティアと出会い、心を傾けられる事で、初めて誰かの傍で安心できたイスラティル。
「あの、本当に……私で良いんですか?」
 リィンティアが、嬉しさと少しの不安が混ざった瞳で問い掛ける。
「君『で』良いんじゃない。君『が』良いんだ。だからどうか疑わずに傍に居て、君は俺の何よりも大切な人だから」
 イスラティルの言葉がそこで一度途切れると、リィンティアを優しく抱きしめた。 
「何度でも、伝わるまで抱き締めるから。だからどうか――」

 ――この遠い約束は、大切な君以外には望みたくないから……君の未来を、俺に下さい。
イラストレーター名:犬飼さとる