■リヴァイアサン大祭2012『こたつの魔力〜仲良く寝落ち編〜』
「よし、こんなところか」旅団の仲間達と騒いだ後、サイラスの家で二次会――あるいは本番。二人きりでのパーティを行うことになった。
アドルフは相棒のリクエストに応え、色々つまめる物やケーキを作ってみた。
「ささやかながらご馳走を用意してみました」
サイレスに向かい少し畏まって言った後、「……なーんてな」と舌を出して笑う。
「おー、アドルフのケーキ、ずっと楽しみにしてたんだ」
「それは光栄だな」
調理の間にサイレスが用意していたらしい、コタツの上に料理を並べていく。
「コタツ万歳。冬はやっぱこれだよなー」
「そうそう、これがないと冬って感じがしないよな。よし、グラス持ったな? それじゃあ――」
「「――乾杯!」」
美味しい手料理に舌鼓を打ちながら、思い出話に花を咲かせる二人。
「しっかし、出会った頃は、まさか家まで遊びに行くような仲になるとは思わなかったな」
「本当、昔の俺たちが見たらびっくりしそうだよね」
人の縁とは、本当に何があるのかわからないから面白い。
こうして楽しく共に過ごせる巡り合わせに、そしてお互いに感謝する二人だった。
冬の寒さを忘れる暖かい部屋で、一番の友人との楽しい時間は続く。
話題は尽きることなく、いい気持ちになった二人の酒量も増える。
「んー……」
(「あ、駄目だ、眠い……」)
用意したご馳走の数々をあらかた平らげたアドルフは、大きく伸びをして倒れこむ。
酒の力も相まってぽかぽかといい気持ちだ。
(「まだ、皿の片付けとか――」)
仕事が残っていることは覚えているのだが、それ以上に睡魔が手ごわい。
「炬燵で寝たら、風邪引くよ?」
声をかけるサイラスにしても、気を抜けばすぐに意識が飛んで行きそうな様子である。
「ほら、ちゃんと……」
言葉も途中で途切れる。
相棒に釣られるように横になったサイラスは、完全に眠気にやられてしまう。
(「せっかくのパーティなのに」)
そう、頭の隅で考えるものの。
(「まぁ、こういう過ごし方もありかな」)
すぐに思い返し、二人仲良く夢の世界へ旅立つのだった。