■リヴァイアサン大祭2012『暖かな雪の日』
「綺麗だな……」「あぁ……」
夜空を眺めてカルディノが静かに口を開くと、ワイングラスを傾けながらダリスが頷いた。
夜空には純白の雪が優しく降り続き、その中を星霊リヴァイアサンが優雅に泳いでいる。
年に1度のこの日に、団員達と賑やかなパーティーを楽しんだダリスとカルディノは、バルコニーで二人きりの静かな夜を過ごしていた。
2人でテーブルの上に並んだカルディノの手料理とケーキ、そしてワインを楽しんでいると、
「くしゅん……」
カルディノの軽いくしゃみがダリスの耳に届く。
「ほら、風邪をひくぞ」
ダリスがカルディノの手を引き、自分のコートから右腕を抜いてそちら側をカルディノにかけた。
「ぁ……ありがとう。お前は、寒くないのかダリス」
カルディノは、優しい温もりを肩と背中に感じて、うっすら頬を染めながら、心配そうにダリスを見上げる。
「こうしていれば、俺も大丈夫だろ?」
ダリスは微笑みながら、カルディナを包むように抱き寄せ、そっと指を絡めた。
「……。そう、だな。とても……とても暖かいよ」
肩に背中、そして指に伝わる愛しい温もりに、カルディノは嬉しさと照れくささとで赤くなる顔を抑えるのに必死になっている。
「……」
そんな必死なカルディノの横顔を見つめていたダリスが、おもむろにカルディノの頬にキスをした。
「なっ……も、ぅ何だ。何をいきなり」
目を見開いて驚くカルディノは、頬を染めてダリスを見上げる。
「いや、お前が可愛くてつい、な」
ダリスは幸せそうに柔らかく微笑んだ。
その微笑みには、自分の腕の中で真っ赤になっているカルディノが可愛くて愛おしい、と溢れ出ている。
「全くお前は……ほら、リヴァイアサン綺麗だぞ。空見ろ空」
カルディノは、真っ赤になった顔をダリスから隠すように、空を見上げながら口を開いた。
ダリスも改めて、星空とリヴァイアサンが生み出す幻想的な風景をもう一度見上げ、
「また今年も一緒にこの景色を楽しむことが出来たな」
穏やかに、ゆったりと口を開く。
「そうだな。……今年も、一緒に居て幸せだった。これからも、そうでありたい」
愛しい心地良い声に落ち着きを取り戻したカルディノが、静かにダリスの胸に背をもたれ掛けさせて体を預けた。
「あぁ、来年も、その後も、ずっとだ……」
ダリスは絡める指にぎゅっと力を込めて、静かで力強い声で囁く。
その声にカルディノは頭をダリスの肩口に持たれかけさせ、
「……愛してる。この先も、ずっと」
絡められた指に力を込めた。