■リヴァイアサン大祭2012『星とリヴァイアサンに誓いを〜これからの時間を共に〜』
インディゴ色した空の中、星々が瞬きを増す時間。リヴァイアサンの丘から見上げる深夜の空は絶好の晴れ模様。
星空仰いで、寄り添うふたりの人影はナフルとリアノンのそれ。
「寒くない? リア」
「うん、大丈夫」
二人包まる毛布の温かさ。何よりふたり、こうして共に在れる事が何より、心を温めた。
「ねえ、あの一番明るいの……」
知った星を見つけて、星空の中ひときわ明るいそれを指差し、綺麗ね、と囁くリアノンの横顔に、不意にナフルは見惚れた。
(「その星の輝きに負けないくらい……君も綺麗だ」)
そう、いつだってナフルにとって、リアノンには一等星の輝きに勝るとも劣らない魅力があって。
いつだって己の心を惹きつけてやまない、愛おしい存在。
「ナフル?」
沈黙を守るナフルを不思議そうに見上げたリアノンの視線が、真剣な表情とぶつかる。
思わず紅潮し、火照る頬。だってその表情はいつものおどけた表情ではなくて。
それでいて、今まで見た事もないほどに、強い意志の光を秘めた瞳をしていたから。
「あ……えっと、何かな?」
躊躇うようなその声音に、ようやく我に返るナフル。
「あ……ご、ごめん」
一度は誤魔化すように謝って、けれど――次の瞬間には、意を決したように、居住まいを正した。
そして取り出された、小さな箱。リアノンの色と同じ、優しい紫のリボンで飾られたそれは。
「メリーリヴァイアサン。そして、誕生日おめでとう」
驚き、その箱を開けたリアノンが見たそれは、淡く輝くシルバーのリングだった。
リアノンの瞳が潤む。揺れる双眸は確かに、幸福の色を湛えていて。
「……これからも君の傍でこの日を祝わせてもらえる?」
そんな彼女が、自分といる事で幸せになれるのなら。ナフルは、ずっと彼女の傍にいたいと思う。
そしてそれは、リアノンの望みでもあり、同じ気持ちでもあった。
だから、答えなどとうに決まっていた。
「うん……もちろんだよ。ありがとう」
彼の気持ちを喜ばないなど、どうしてありえよう。
そう言い切れるくらいに、ふたりの気持ちは同じ方向を向いていた。
だから、必然的に、影が、顔が、重なり合う。
その、直前に。
「大好きだよ、リア……」
「私もよ、ナフル……」
優しく囁き交わされたその、愛の言葉は確認であり、誓い。
これまでのように、これからも、共に在り続ける為の。
星々の照れたような瞬きが、そしてリヴァイアサンが、柔らかく、温かな光を注ぐ。
ふたりの上に。ふたりだけを、重なった影ごと、包み込むように。
幸せを甘受するふたりを静かに、優しく見守るように。