■リヴァイアサン大祭2012『The light which lights up the world.』
リヴァイアサン大祭の今夜は一年に一度の特別な日だから。恋人や家族、大切な相手とデートしたり静かに過ごす人々も多いけれど。
フィルとアルカナは親友同士。
月の浮かぶ星空のオープンカフェテラスでリヴァイアサンパーティをすることにした。
夜なのでテーブルの上に置かれたキャンドルの灯りがたくさんの料理を淡く照らし出している。
その中でも目を引くのは妖精の形をした砂糖菓子がデコレーションされたケーキ。
「わぁ……! 美味しそうなケーキなの……!」
「すごい、これ上に乗ってるの妖精?」
「ふふり、妖精さん。メルにそっくり。ね?」
「まるでメルを食べちゃうような気分に――あっ!」
アルカナがケーキの上の砂糖菓子を見てテーブルで寛ぐフィルの妖精メルに微笑みかけると、エルは何かの危機を悟ったのか、ケーキの上から砂糖菓子妖精を連れ去った。
その様子に二人の笑い声が弾ける。
アルカナはケーキをフォークで掬ってフィルに差し出した。
「フィル。はい、あーん、なのよ」
「もう一人で食べれるのに!」
フィルの藍色の瞳が照れくさそうに細められるが、まんざらでもなさそう。
「ね、ね。美味しい?」
アルカナも銀色の双眸をきらきらさせて問うが、フィルはお返し、とケーキを差し出し「あーん」と言った。
「味はね――はい、アル自ら確かめて?」
「あ、あーん……。……うん、美味しいのっ」
ケーキをぱくり。
フィルは思う。
大好きな親友と一緒だから、格別の味だと。
もぐもぐと味わいながらアルカナも思う。
美味しいもの、楽しい気持ちを一緒に分かち合えるなんて、とっても幸せなことだと。
「フィル。来年もどうぞよろしくなの。ずっと仲良しでいてほしいのよっ」
「うん、私の方こそ! 来年も、再来年も。ずっと仲良くしていこうね!」
見上げればフィルの瞳の色のような夜空に、アルカナの瞳の色のような星が瞬いて。
「来年も、二人でいっぱい思い出を作りましょう、ねっ」
少女達のリヴァイアサンパーティは星空の下、もう暫く続くらしかった。