■リヴァイアサン大祭2012『真偽永久に 〜すこしだけかわっていく〜』
「綺麗ー!」純白の雪が舞う夜空を悠々と泳ぐ星霊リヴァイアサン。見上げたヒノカが瞳を輝かせて歓声をあげた。
「あぁ……」
はしゃぐヒノカを見守るアルトが微笑む。
丁度一年前、ふらっとアマツカグラを出たヒノカを、アルトが見つけ出したのは、金砂と雪が舞うお祭りの賑やかな街中。
「えへへ、去年アルと会えて本当に良かった」
ヒノカは、にこっとアルトに笑いかけながらも、アマツカグラでは見られない珍しい品々を次々に瞳に映していた。
甘い匂いが漂い、可愛いくて美味しそうなお菓子を見つければ「美味しそうー!」と近付き、アクセサリーを売っている露店があれば、珍しそうに瞳を輝かせる。
アルトは、色々な物を楽しそうに見て、嬉しそうにはしゃぐヒノカを見るのは嫌いではなかったが、何処に行くかわからないのを少しハラハラしていた。
ふらりとアマツカグラを出ていってしまったヒノカだから。
「アルと会えて、今もずっと一緒にいられて、こうして一緒にお祭りも見られて……凄く嬉しい!」
そんな、忙しくあちこち見ていたヒノカは、くるりとアルトを振り返って、満面の笑みを広げる。
(「相変わらず……のんきだな……」)
「そうだな」
アルトには色々考える事や言いたい事があったが、それら全てを飲み込んで、苦笑まじりに応えた。
「あのね、大祭では贈り物をするらしいけど去年はできなかったから……」
ふいに、ヒノカが髪を結ぶ紐を「お守りになるからね」と、アルトに笑顔で差し出す。
「どんな時でもずっと一緒ならいいけど、できないかもしれないから」
でも、ずっと一緒だよね、とヒノカは笑った。
「……」
そんなヒノカの笑顔に、アルトは、自分でもどう形容したら良いのかわからない気分に黙り込む。
「……アル……?」
ヒノカは、黙り込むアルトの様子を不安そうに見上げた。
見上げて覗き込むヒノカの視線と、ヒノカを見つめるアルトの視線が絡み合う。
「ヒノカ……」
アルトが静かに呟くと、ヒノカの頬に優しく手を添え、そっと唇が重ねられた。