■リヴァイアサン大祭2012『共に、季を紡ぐ』
リヴァイアサン大祭の日は年の瀬も押し迫った頃にやってくる。夜空にリヴァイアサンと雪の舞う寒い夜のこと、薪が赤々と燃え時折爆ぜる暖炉の前のソファに寛ぎ、相棒のファルコン『蒼』を頭の上に載せてご機嫌なブランの手の中には、親友とお揃いのとんぼ玉『蒼星珠』があった。
空色の中に金の星を閉じ込めたような美しいものだ。
大事な相手からの贈り物を手に一緒に一年を振り返る。
「それがあーく、キミでとても嬉しいよ」
あーく、と愛称で呼ばれた一方のリオアークは、足元に寝そべるコヨーテ『エステル』の毛並を堪能しながら、ご機嫌な様子のブランを見やった。
彼も親友から贈られた『碧星珠』を手にしていた。
親友のものと対をなすそれは、碧色の中に銀の星を閉じ込めた夜空煌めくとんぼ玉。
「俺も。ブランとこうやってのんびりしながら思い出話が出来て嬉しいよ」
にっこりと笑い合い、色々なことがあった一年、二人で過ごしたその過ぎ去りし日々に乾杯するようにそれぞれのとんぼ玉を触れ合わせる。
本当に、時の流れは早いものだ。
「僕はね、とっても楽しかったよ。あーくは?」
「もっちろん! 俺も楽しかったぜー。ブランと色んなとこに遊びに行けたしな!」
にゃんこと戯れたり、天然ウォータースライダーで空を飛んだり、対の物を買いに行ったり……とリオアークが思い出を語れば、ブランは微笑を深めた。
「よかった。大事な親友が楽しかったのなら、それだけで僕はしあわせ」
ブランにとって、リオアークは片割れ――双子の兄弟――以外で初めてできた友達だったから。
(「でも、ずっと一緒に遊んでもらいたいな、なんて思ったら、それは僕のワガママなのかなぁ?」)
ふと胸中にそんな思いがよぎる。
リオアークはそんなブランの様子に気付き、首を傾げた。
「ね、あーく、来年も遊んでくれる?」
敢えてそれだけを口にして問う。
すると親友は事もなげに答えるのだ。
「どうして不安がる? 俺はブランが居てくれて良かったと思ってるし、これからもずっと一緒が良いと思ってるよ」
それはまるで魔法の言葉だ。
見透かされた不安など、あっという間に霧散させてくれる。
「えへへ、楽しみだなー。よろしくね」
「おう、来年も再来年も二人で色んな場所に行こうぜ!」
朝焼けの新緑の瞳と、宵闇の森の翠の瞳が、親愛の光をもって交わされた。