■リヴァイアサン大祭2012『−IF− 「酔ってるの?」「お前にな」「…ボクも」』
リヴァイアサン大祭といえば、大切な人とデートとか気の合う仲間とパーティをするとか、あるいは静かに過ごすとか、楽しみ方はそれぞれだ。ハイリは仲の良いペンペロンと一緒に自分の家で呑みまくった。
何の気兼ねも無く酒を飲める相手ともなれば杯は進み、自然と2人して深酒をし酔いまくり、気付いたら朝。
つまり、べろんべろんに酔っぱらった挙句、ソファで眠り込んでしまったらしい。
黒いミニスカートドレスのままのハイリが、うっすら赤い瞳を開けると、隣にはペンペロン。そして何故かその彼に抱き締められているではないか。
うーん、とハイリはまだ酒の残る頭で昨夜何があったか思い出してみる。
ふと脳裏に蘇るのは、多分、夢なんだろうけど。
いつも陽気なペンペロンが、なんだか大人の男の雰囲気を漂わせていて、黒ずくめの恰好も相まって押し倒されたら何も出来なくて。
「無理やりされているのに、抵抗しないのか?」
なんてセリフも様になっている。
もともと精悍な体躯にワイルドな顔立ちのペンペロンだ。不敵な笑みを浮かべる紫の瞳に射すくめられて動けない。
いつもと違い過ぎて、胸がドキドキする。
大きな男の手で抱き寄せられて、それで、どうしたんだっけ。
(「うぅ、どうしよう。ものすごく顔が熱い。恥ずかしくてたまらない」)
ハイリは自分の服を確認してみるが、乱れてもいないし、特におかしなところは無い。
きっとあれはただの夢で、実際には何もされなかったに違いない。
でも、何故あんな夢を見たんだろう、とハイリはまだ残っているかもしれない酒だけのせいではなく、顔を赤らめた。
恥ずかし過ぎて顔が熱い。これではペンペロンの顔をまともに見られないではないか。
ハイリは、よいしょとペンペロンの腕をどけて顔でも洗って頭を冷やしてこようと思い立つ。
(「赤くなってキャーキャー言ってる所なんてみられたくないし」)
そうしてハイリが立ち去った後。
寝たふりをしていたペンペロンはむっくりと起き上がり、呟いた。
「夢にしちゃリアリティありすぎるわな。二人同時に見るってのも」
だるそうに逆立てた赤毛の頭をかきながらボソリ。
リヴァイアサン大祭明けの日常。
2人に起きたことの真相は、リヴァイアサンのみぞ知る、かもしれない。