■リヴァイアサン大祭2012『ほくほく雪の日のぬくもり』
リヴァイアサン大祭。一年に一度の特別な日であるが、特別なことをしなくても特別な日になる。
祭りであるので、屋台なども出ており街は賑わいを見せていた。
雪降る中、友達同士で散策するのもまたこの日の過ごし方の一つだろう。
エアリーは大好きなお友達であるエリノアの手を引いてにこにこと幸せそうに笑っていた。
足取りは軽く、赤茶の髪に時折雪が舞い降りて、そして消えた。
ふと、一つの屋台へと向かった。まるで引き寄せられるように足が向いたのは、肉まんの屋台だった。
寒い中、もうもうと白い湯気と美味しそうなにおいが辺りに漂い、とても魅力的だ。
エアリーは紙袋一杯に肉まんを入れてもらい、歩きながらひとつ手に取ってぱくり。
柔らかい皮はふんわりと、噛り付いたところからじゅわりと肉汁があふれ出し、それはもう美味しくて、思わずぱあっと輝く笑顔になる。
「エリノア、これ、美味しいよ!」
そんな子供っぽいながら天真爛漫なエアリーの様子を見て、エリノアも幸せな気持ちを貰ったような気がして自然に笑顔になっていた。
こんなふうに何気ないことも優しく見守るのがエリノアだった。
髪の色も瞳の色も同じ二人だが、見た目の印象も性格も違っても大好きで大切な友達でいられる。
夢中で肉まんをぱくついていたエアリーの視線を感じて、改めて彼女に目を向ける。
「どうしました?」
「エリノアも一緒に食べる?」
きょとんと首を傾げ、片腕で紙袋を抱いたのと逆の手で肉まんを頬張りながら、最初の一つを食べ終えてから、じっと長身のエリノアの青い瞳を見上げて尋ねる。
エアリーに差し出された肉まんを、エリノアも「いただきますね」と一口。
「あ、美味しい。ありがとうございます」
受け取って、二人で肉まんを食べながら歩く。
「えへー。一緒に食べると美味しいよね!」
美味しいものは大好きな人と一緒なら、一人で食べるよりもっと美味しくなるようだ。
もちろん、幸せも倍になる。
これからもこんなふうに一緒に過ごしたいと思いつつ、リヴァイアサン大祭の一日は過ぎていった。