■リヴァイアサン大祭2012『幸せなひと時』
「今日は楽しくパーティーをしましょ」「ああ、楽しくやろか」
結婚して初めてのリヴァイアサン大祭。
ユエとイリークは、お互いに赤と白で彩られたサンタの衣装に身を包み。
部屋の飾りつけを行い、とびきりの料理を用意して。
お喋りをしながらの準備は、それだけでもう楽しくて。
(「イリークと一緒に過ごせるなんて本当に幸せ♪」)
(「去年は兄さんとこの日を過ごしてあれはあれで楽しかったけど、今年は夫婦でと思ったら改めて胸が熱くなったわ」)
2人の胸の中は相手への愛情で溢れ、ただそばにいるだけで全身を喜びが包み込む。
「……あら?」
楽しい会話の中、視界の隅に映る小さな白いかけら。
窓から覗けば、はらりはらり落ちる雪。
(「やっぱり降ってきたのね、ふふっ、綺麗」)
「ねぇ、イリーク。外を見て、雪が綺麗よ」
パーティの準備、飾り付け担当のイリークを手招く。
「お、雪降ってきたん? ――ほんま綺麗やなあ、ユエに負けんぐらい白くて綺麗や……なんてな」
「あらあら」
照れるユエの可愛さに、イリークの頬が緩んでしまう。
雪がゆっくり落ちるのを見ていると、自分も同じように、地に足をつけてゆっくりと歩いて行っていいのかもしれないと、そう思えてくる。
(「ユエと居る時間を大切にゆっくり過ごそう、ってな」)
「――ふふっ。ありがとう」
(「褒められちゃうとなんだか照れちゃうわね」)
いつも雪を見るときは独りだったが、今はこうして、イリークが、大事な人が隣にいてくれる。
(「それが大切で、とても愛おしい」)
誰よりも大事な『旦那様』と過ごす時間を大切にしたい。ユエは心から思うのだった。
「……さて、何か食いたくなってきたわ。今日の手料理は何やろな〜」
「ふふ、そうね。ご馳走を沢山作ったわ」
子供のように期待を全身で表すイリークに微笑みながら、ユエが料理を運んでくる。
「シチューにチキンに――おお、ケーキまであるやん!」
「さぁ、一緒に食べましょう」
「いつも美味いもん食わしてくれて、ほんまおおきに」
ロウソクの灯り越しに見える優しいユエの顔を見つめながら、数々のご馳走に舌鼓を打つイリーク。
おいしい料理とお酒が話題を弾ませ、2人が紡ぐあたたかな調べは尽きることなく続くのだった。