■リヴァイアサン大祭2012『俺たちの祭りはこれからだぞ にゃん♪』
華やかな灯りと静かに降り続く雪。人々の楽しげな声。ブランシェルは、その輪の中を1人で宿へと向かっていた。
日中はお互いに予定があった為、深夜の宿で2人の時間を取ろうという事になっていた弟――兼、恋人であるプラウウェンが待つ宿に。
「ただい……」
二人部屋の扉を開いたブランシェルは、ドアノブに手をかけたまま一点を見つめて動きが止まった。
「おかえりにゃ♪」
ぴったりと体のラインを出す黒いボディスーツで首から下を覆い、頭には黒い猫耳、お尻には黒い猫尻尾を装着したプラウウェンが出迎えたから。
柔らかい金糸のような長い髪と中性的な顔立ちを持つ、まだ成長途中である細身の少年の、そんな姿を見れば動きが止まってしまうのもしょうがない。それが最愛の弟であれば尚更。
(「その格好は……反則だぜ……」)
ブランシェルは、うっすら頬を染めて、息を呑む。
「ドア、開けっ放しにゃ」
「あ、あぁ……すまない。ただいま」
プラウウェンの声に、ふと我に返ったブランシェルが、扉を静かに閉める。そのままベッドに腰掛けていたプラウウェンの横に腰を落ち着けた。
「寒いにゃ」
プラウウェンが甘えるようにブランシェルに抱きついて、しなだれかかってくる。
「あぁ、外は雪だからな」
ブランシェルは、プラウウェンの細い肩を抱いた。滑りの良いボディスーツ越しの感触は、確かに少し冷えてしまっている。
「肩、冷たくなってるぞ」
ブランシェルは、ボディスーツ越しに肩を優しく擦った。
「ん〜♪」
肩に感じるぬくもりに、気持ち良さそうに瞳を閉じたプラウウェンは、猫が甘えるようにブランシェルの肩に頬ずりをする。
「あっためて欲しいにゃ」
猫撫で声で頬ずりをしてくるプラウウェンが、猫がじゃれつくようにブランシェルを押し倒した。
「ラ、ラウ……」
甘えながらも積極的なプラウウェンに、ブランシェルが敵う筈はなく――。
されるがままのブランシェルは、とても人に話せないような、あま〜い一夜を過ごすのであった。