■リヴァイアサン大祭2012『雪白トロイメライ』
空から真っ白な雪が降り積もるその日、リーフィルーナの誘いにロウは笑みを浮かべて応える。「リヴァイアサンを見に行くのかい?」
「1年に1度しか現れないリヴァイアサンですもの、是非一緒に見に行きたいと思ってましたのぉ」
「いいよ、それじゃ良い場所が有るんだ!」
そう言ってロウが案内したのは街の高台、人の訪れは無く、足跡一つない雪原が広がっている。
「リヴァイアサン見るんだったら、夜空が見えやすいココがいいと思うんだ!」
「本当ですぅ、リヴァイアサンがあんなに大きくみえますのぉ」
見上げた空には、水の上位星霊リヴァイアサンが雪と共に舞っている。
街中で見上げるのとは違って、建物に邪魔されず尾から頭まで全て見て取れた。
「リーフと星霊、スピリットと一緒にリヴァイアサンを見に来れるなんてとってもうれしいや」
ロウは羽織っていた雪除けの外套を雪原の上に広げると、その上に座って見せる。それから、半分空けた外套の上の示して、リーフィルーナに手招きした。
その様子を少し頼もしく思いながら、リーフィルーナも隣へと腰掛けた。鞄から取り出した毛布に二人で包まると、毛布の端で口元を隠して、リーフィルーナは柔らかに笑う。
「ふふふ、温かいですぅ」
二人は友とする星霊やスピリットを呼びよせる。そしてバルカンに飲み物を温めてもらって、カップを片手にリヴァイアサンを眺める事にした。
カップの中身が無く成った頃、リーフィルーナはそっとロウに語りかける。
「アクエリオの街でロウ君のゴンドラに乗せて頂いた時の事、覚えてますかぁ?」
それはロウが『大切な人』と言ってくれた日。
あの日の言葉は今もリーフィルーナ胸のなかで温かく響いている。
「ロウ君の言葉…私、とても嬉しかったんです。……何の前触れもなく突然、家族や大切な方達との時間が途切れてしまってからは、もう誰かと特別な絆を紡ぐ事はできないのでは、と思ってましたから……」
「リーフ……」
リーフィルーナが家族と想い人をなくしてから、ずっと抱いていた心の傷。
それを打ち明けてくれる意味をロウは確かに受け止めた。
「大切な人達と突然別れちゃうことなんて、想像するだけですごくつらいし、寂しいよね……」
「でも、今は貴方が傍にいてくれている。私にとっても貴方は大切な方です……これからも一緒に傍にいさせて下さいませね」
リーフィルーナはロウを見つめる、その言葉にロウは頷いて応える。
「うん、ありがとう!これからもリーフと一緒に大切な時間過ごしたい。あの時の言葉、気持ち、今も変わりないよ!これからも、リーフのそばにはオレやファルコン、星霊達のみんなも一緒にいるからね」
寄りそい合う二人の側では、スピリットと星霊達が共に夜空を見上げている。
空には雪を生み出して舞う、リヴァイアサンの姿があった。
雪の様に純粋な、だけど溶ける事の無い約束を二人はそっと誓いあう。
これからも一緒に。