■リヴァイアサン大祭2012『雪月の夜更け』
家族と、恋人同士と、友人達と。大切な相手と過ごす一年に一度の大切な日。
それがリヴァイアサン大祭だ。
ツルギは、ナルシュナイヴに告白してから既に一年が過ぎたということに改めて気付き、月日の流れの早さに驚いていた。
「気付けば……なんだかあっという間だった気がするわ」
出会った時から好きになっていたのかもしれない。そう思えるほど、最初の出会いは今でも思い出せる。
夜までは一緒に温泉に入ったり蜂蜜の川でお菓子を楽しんだり、ただ雪を眺めたり、リヴァイアサン大祭の一日を過ごして、そして今日は特別な日だから宿を取った。
食事も一緒に、そして二人で熱い時間を過ごすのだ。
お互い素肌を晒し、腕の中にナルシュナイヴを包み込めば、豊かな胸がふんわり触れ合って。
ふたりきりで過ごす夜は、寒さなど気にならない。
上気した身体を寄せ合い、じっとその銀色の瞳を見詰める。
「今日はありがとう……とても楽しかった」
こうして一緒に居られる時間を心から感謝しつつ。
ナルシュナイヴも、一年どころか、もっと前から付き合っている気がしていた。
きっと、共に依頼で戦ったり、模擬結婚式などもしたり、とたくさんの思い出を重ねてきたからかもしれなかった。
身体を重ねるたび、段々ツルギが素直になってきてくれたのが嬉しくて、愛しい。覗き込んでくるツルギをうっとりと見上げれば、その藍色の瞳に自分が映っている。
ベッドの中裸で抱き合っていると、二人の美しい銀の髪が混ざり合い、絡み合うかのよう。
ふと見れば雪の舞う夜空を泳ぐリヴァイアサン。
その輝きは以前見たときよりも不思議と眩しく感じられ、それはむしろ己の心情の為かもしれなかった。
大切な相手と見るものは、今までよりも尊く見えるに違いない。
ツルギも、何度もそうしていたのに大好きだと気付いたのはいつだったか、思い出すたびに胸の奥が甘く疼く気がするのだ。
「ナル……大好きよ」
唇から紡がれるのは単純な言葉。
万感の思いを込めて紡がれた告白を贈り、ツルギはナルシュナイヴと唇を重ね、願う。
これからも共に歩むことを。