■リヴァイアサン大祭2012『LieN〜2人の絆〜』
エルフヘイムに伝わるリヴァイアサン大祭の日の奇跡。夜空を舞うリヴァイアサンが一年に一度見られる日。「アストライアと出会ったのもこのエルフヘイムだったな」
雪が舞い、煌めく飾りが眩いツリーが立つ街中を肩を寄せ合い歩く二人はガーディアンとマスターの関係。
それと。
カインツが懐かしく話し始めると、アストライアもしみじみ思い出す。
「そういえば、そうでしたね」
カインツを見かけ、声を掛けて。
いろいろ話すようにもなり、手紙や他の事でも付き合うようになり、その分たくさんの思い出や経験を重ねてきた二人。
まるで昨日の事のように思い出せる。
「ふふ、きっとこうなるとは、当時のカインツ様も思ってはいらっしゃらなかったでしょう」
人は自分の運命を予測することは出来ない。だからこそ思いがけないことには驚くし、その幸運を喜ぶことも出来る。
アストライアを見詰めつつ、カインツは彼女の述懐に耳を傾けていた。
「私は、半ば……一目惚れの様な物でしたから。それを思えば、こうなって欲しい、というのはあったかも、ですけど」
「そうだったのか…確かに、あの時はまだ夫婦になることまでは思っていなかった」
自分の胸にそっと身を預け、その温もりに目を閉じるアストライア。
カインツにとっても彼女と過ごした同じ時間、経験した戦い、それらによって強くなった想いがあればこそ。
「ガーディアンとマスター……それ以上の関係を願うようになった。だからこそ……あの時、求婚した」
そして今の二人があり、こうして二人一緒に歩き、未来へと。
「カインツ様、私は今、とても幸せですよ。あなたは、どうですか?」
アストライアは、はっきりと胸の内の気持ちを口にした。
彼の傷全てを癒し尽くすことは出来ないけれど、彼の歩く道筋が決して後悔で終わることがありませんようにと切望するから。
カインツは、きっぱりと胸の内の気持ちを答えにした。
「私も幸せだ、アストライア。これまでに……感じたことがないくらいの幸せを、キミが教えてくれた」
罪の意識だけで生きていた自分が、ここまで変わることが出来た。
感謝してもしきれない。
だから、これからも共に幸せになるのだ。
アストライアの肩を抱いた手に力を込めて、カインツは二人の記念日、始まりの日であるリヴァイアサン大祭の日に改めて誓うのだった。